ラグの「素直に生きれば人生は楽しい」

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拈華微笑(ねんげみしょう)

2009年07月30日 | 二升五合




「拈華微笑(ねんげみしょう)」

昔、お釈迦様が霊鷲山(りょうじゅせん)で説法を行っていた時、大梵天王から
受けた金波羅華(こんぱらげ)という金色の蓮の花を黙ってひねって見せたところ、
弟子の摩訶迦葉(まかかしょう)だけがその意を解して微笑していたので、彼だけに
悟りの奥義を授けたという故事からの四字熟語だそうです。
( ※ 「拈華」 とは、蓮の花をひねること )



「料理長の本意」

(昔、昔の)ある日、料理長が厨房へ入ってきて、一本の包丁を手にしました。
少し刃先を眺めたあと、包丁立ての定位置に戻して、すぐに厨房を出ていきました。
次の日、また同じ包丁を手にします。そして、昨日と同じように刃先を眺めてから
元に戻して厨房を出ていきます。その次の日も、料理長は同じ行動をしたのです。

私は気になって仕方ありません。3日目の営業終了後、厨房へ戻って料理長の
あの包丁を手にしてみます。もちろん、料理長の包丁を勝手に触ることはタブー
です。しかし、私は気になって仕方なかったのです。刃がこぼれている(欠けている)
のではないかと予想した私でしたが ・・・ 包丁は至って普通の状態で綺麗でした。

料理長に直接聞けるような立場ではありません。ましてや、たくさんいる先輩には
“いらんこと考えんと仕事しろ!” と言われるのがオチです。しかし気になります。
4日目の朝、意を決した私は、直接、料理長にこの3日間のことを尋ねてみました。
料理長の答えは ・・・ “包丁を眺めてたのは、別に何の意味もないねん。お前は
包丁が気になったか?それとも、俺の行動が気になったか?それから、お前以外
に周りで気にしてた奴は何人おった?”

予想もしなかった答えというか、料理長からの逆質問でした。しかし当時、私には
この料理長の本意は理解できていませんでした。少し理解できるようになったのは、
後輩ができて責任感が芽生え始めた頃だったと思います。全てを理解できたのは、
店舗責任者になってから数年が経過していた頃だったでしょうか。

お客様に美味しい料理を提供する前に、素晴らしい接客でお客様と関わる前に、
まず、自身の周囲の人間にどれほど興味を持って日々の行動に注意を払っている
か?そして、その環境下で自身が本当に果たさなければならない役割や関わりを
十分にに理解し、実行できていたのか ・・・ そこを通らずして、お客様を癒し、感動
を与えるような人間(店舗)になど成れるはずがない。という理解です。


「本気が人を惹きつけ、また人を呼ぶ」

本部スタッフとなった私は、
担当店舗を訪れても、売上等の数値状況をあまり見ることはありませんでした。
そのお店のスタッフの顔つきと動き、そして、整理整頓と清掃状態がすべてです。
私は、仕込中の店舗を訪れ、店舗責任者(店長)が事務作業しているテーブルの
前の椅子に腰かけて、よく、天井を眺めていました。

“球切れてるで!” と私が言うと、“すみません!すぐ取り替えます!” と慌てて
電球を探しに走る店長。上司から指摘されると嫌でも俊敏な行動はするものです。
さて、周囲のスタッフは ・・・ 店長が走っても知らぬ顔(俺は厨房で料理担当!)?
です。この一連の動きで、責任者(店長)としての力量とスタッフの店舗貢献度は
大よそ計れます。( この店舗には電球を替える係を作るべきか ・・・ ??? )

店舗責任者がこの作業をしていては ・・・ という危機感がどれだけあるかです。
電球を替える作業は簡単で時間も掛かりませんので誰がやってもいいはずです。
責任者は 「自分にしかできない仕事」 をすべきであり、その為のサポートをすべき
人が機能しなければチーム全体の力(店舗力)は低下します。結果、お客様の
満足度が高まることはありません。感動や癒しなんて、とても とても ・・・

私が天井を眺めていたのは、もちろん、球切れの電球を探す為ではありません。
何人のスタッフが事態に気づき、透かさずアクションを起こせたかが問題であり、
また、何人の店長がそれを教訓に店舗力をアップできたかが重要なのです。
( お客様が居ない店舗シチュエーションでの本気度が店舗力UPを左右する )

人の上に立つ(上の立場になる)と、目配せ一つで真意を理解して動いてくれる
部下が欲しくなるものです。しかし、よっぽど上司が立派で徳のある人間であるか、
部下の頭が良くて上司を立ててくれるような人材でない限り、それは無理難題なの
かもしれません。非常にレベルの高い感覚だと言えます。そう考えれば、やはり
お釈迦様のようなお方は、そうそう現れるものではないと逆に納得します。

“摩訶迦葉(まかかしょう)のような人材が欲しい!”
と、企業の経営者や店舗の責任者は真剣に思うのでしょうね ・・・ 。



■ 二升五合 ■

スタッフが 賢かろうが
スタッフが 馬鹿だろうが
お客にはそう関係ない

店長に 徳が有ろうが
店長に 徳が無かろうが
お客にはそう関係ない

だたし、
一切合財ひっくるめて
そのお店の評価である

ある意味、
やりきれない業界でもある


第五大成丸



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2 コメント

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耳が痛い話です (kantarooka)
2009-07-30 23:13:11
私の職場は店舗を構えていますが、基本的に営業会社です。
人材も営業職経験者を採用して、店舗より営業に力を入れているように思えます。
でも近くの同業者に比べても立派な店舗を構えています。

営業という職業柄個人プレーが多く、チームワークは二の次になっているかもしれません。
同僚がライバル、あるいは敵の営業ではしょうがないことなんでしょうか?

あまりに自分のこと以外に無関心に困ることが多々あります。
返信する
業界や組織によって違います。 (第五大成丸)
2009-07-31 01:37:12
> kantarooka さん
 
個人が集まって組織になるという見方と
組織があってその中に個人が存在するという
見方があると思うのですが、基本的に前者から
全ては始まったはずなのですが、組織が年数を
経て成熟する過程で、組織と個人に対する見識
が後者へと移っていくケースが多いように感じます。
 
飲食業の場合、昔から一般の企業より人材産業
という色合いが濃い業界です。一時、システム
管理可能なチェーン店(FC展開)が広がりました
が、ここへきて “一周回って元の位置” 的な
傾向にあります。ただし、昔のように職人が
個人プレー(腕で勝負!)するだけでは、当然、
成り立ちません。
 
「職人たちが自ら現場で仕組みを作り、互いに
協力し合うシステム」 と言えば良いのでしょうか・・・
今、新たな組織枠を時代が求めている、と私は
捉えています。同僚や他社の営業がライバル!
という見方は何ら悪くはありません。当然の話
です。ただ、最終形をどこに置くかという組織
ごとのコンセンサスの問題だということです。
 
話がマジ仕事になってしまいました(笑)。
kantarookaさんのコメントから少しズレたかも
しれません。スミマセン。
 
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