ラグの「素直に生きれば人生は楽しい」

主に人生の歩き方について「人生お弁当箱診断」など
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鉄板食房 『 素の壱 』 su no ichi

2008年03月21日 | 二升五合


私と深い関わりのある主人がいるお店として、このブログでも
一番はじめに紹介しなければならなかったお店(素の壱)です。
遅ればせながら、この舗の店柄と人柄を紹介したいと思います。





天下茶屋(てんがちゃや)
何とディープな街で舗を興すのか ・・・ と私は最初に思った。
この店の主人(K氏)は私の元同僚です。

約20年前、
堺筋本町にあった居酒屋(今はもうありません)の店長を私が引き受けて程なく、
スタッフの募集で面接にやって来たのが、脱サラでこの業界に入って1年程の
彼でした。2つ年下で年齢的には近いのですが、体型や趣味趣向、考え方が
私とは全く違うタイプの男でした。お互いの見方として、業界でやっていけるか
不安な部分もあり、まずホールアルバイトからスタートしたことを憶えています。

その当時の私は、強引とも云える勢いとパワーで自分の考えを押し通すタイプの
店長でした。また、店舗スタッフにはヘンコな職人や個性的なアルバイトが溢れて
おり、彼はこの業界に対する興味と初めて出会うタイプの店舗スタッフに圧倒され
ながらも、徐々に自分のカラーが活かせる居場所を自分で築いていったのです。
真面目で律儀、曲がったことや曖昧なことが嫌い(好きではない)、一般的には
“融通の利かないタイプ” でした。私にとっては、私と真逆の性格の人材が必要
だったという意味では “ナイスボール!ナイスキャッチ!” でした。

私の持論(自論)は、
 「飲食業」 というものは “人生の縮図” であり、
 「飲食店舗」 は、その人生を過ごす “社会の縮図” であり、
 「店舗スタッフ」 は、その社会に生きる “世の中の人の縮図” である。
です。

ゆえに、色んなタイプのスタッフが必要だったのです。トップ(店長)が自分の
お気に入り(自分と気の合うタイプや自分に同調するイエスマン)のスタッフだけ
しか使えないようでは、結果、“縮図” には対応できない店舗となります。
人が二人以上集まれば、それはもう 「組織」 です。どうせそうなら、とことん
色んなタイプの人間を集めてしまおう ・・・

彼が入ったことで、お店という組織に幅ができました。私の店長としての評価も
上がったことは事実です。強いて云えば、私(店長)の評価なんて、結局の話、
スタッフがどれだけ店舗イズムを理解した上で我慢して付いてきてくれるかでした。
常にその先頭に立って店舗を維持してくれたのが彼でした。ですから、私(店長)
への評価のほとんどは彼の働きだったと云っても過言ではありません。
( 二番手が賢ければ、トップはバカでも安泰というヤツやったかも ・・・ )

業界のしきたりや業界に対する見方等々、私が伝えることができるものは
ほとんど彼に伝えました。彼は、店長を経てSV(スーパーバイザー)、そして会社の
管理部分を統括する役職(役割)を歴任した上で、1年半前に独立しました。
「思い思いのひと時に … “らしさ” を “素直に” そして一歩ずつ … 」 との思い
から名付けたという 『 素の壱(su no ichi) 』 という屋号。彼の考え方を素直に
表したものです。もちろん、“そうありたい” という意思表示でもあったと思います。

お店自体は、
天下茶屋(南海電車および地下鉄堺筋線)の駅近(西へ徒歩2分)にある
鉄板焼きをメインとした気軽に入れる居酒屋さんです。近隣のお客様に気軽に
来店戴き、長く可愛がってもらえるお店を目指していると思います。それまで
管理面の仕事をメインで活躍していましたが、このお店では自身の目指す
店舗像を曲げてまで金儲けに傾斜することはないと感じます。逆に、いつもは
ええかげんな私から “大丈夫なん?何とかイケテルのん?” と未だに声を
掛けているところはあります。

しかし、本当は全く心配していません。というより、聞かなくても彼の顔をみれば
大丈夫かどうかは直ぐにわかります。20年という時間が、そういう人間関係を
作ってきたのでしょうか ・・・ お互い、“自分と同じでない部分が気になる” で
繋がっているのだと感じます。その彼がやっているお店は、当然、気になります。
そして、これからも気にして付き合います。これも私のパターンなのかもしれません。





唯一、心配で私にも責任があることは、
彼に調理経験の時間を十分に与えられなかったことでした。
しかし、それも彼は克服するでしょう。開店して約1年半、オープン当初から
比べれば、料理のレパートリーも含め、はるかにレベルが上がっています。
一番感じるのは、やはり自信でしょうか ・・・ 。当初は不安や戸惑いもあり、
試行錯誤したと思いますが、やっと、お店として落ち着いてきた感じがします。
逆に云えば、絶対に気を抜いてはいけない時期です。この1年半やってきた
ことを振り返りながら、これから向かうべきスタイルに目をやる。そして、
しっかり足元をみて踏ん張る。そういう時期です。

話を少し戻しますが、
私たちの業界では、どうしても “美味しい” というキーワードが必要となります。
そのため、地方から名のあるお店を目指して料理修行に来る若者も沢山います。
また、基本から始まり、お店を渡り歩きながら各種料理のレパートリーを増やして
いく職人さんもおられます。確かに悪いことではありません。ただ、業界人として
危惧する部分もあります。“「覚える」 ことで成功する” という勘違いを生むことが
あるのです。それが自分のお店を持ってから気付くのは不幸です。

何が問題かと云えば、
「どんな場所、どんなお店、どんなお客様、どう楽しませる(喜ばせる)のか」 を
はっきり持たず、料理というモノを経験というポケットに詰め込むことで、将来の
成功が約束されるという勘違いを起こさせる環境が未だにあるということです。
今の時代、少し賢い人間ならどこかで気付きます。“本当にこれが必要なのか ・・・ ”
逆に、“自分にとって必要なものは何と何なのか ・・・” を早めに設定することが
本当は一番大事なことなのです。その大きさや優先順位をしっかり見極めながら
進むことです。時には、“あとでできるものはあとで十分” という判断も必要です。

彼のスタイルとして、
“自分の目指すお店にとって大切なもの” はハッキリ持っています。そして、その
優先も含め、これまで的確に経験を積んできました。たぶん、その部分に関しては
お釣がくるくらいやってきたはずです。それが開店当初、少し不安だった料理部分
に気を取られすぎて、アピールしなければならない強い部分がなおざりになって
いたように私は感じていました。

このブログを始めて約1年が経過しました。
本当はもっと前に紹介したかったお店(主人)です。本人には内緒ですが、
何度も何度もお店の前に様子を見に行っていました。そして、昨夜も ・・・
しかし、昨夜は運悪く彼(主人K)に見つかってしまいお客をしてきました。
ビールを飲み、焼酎を飲み、アテ(肴)はもちろんおまかせです。
( 一人だったのでワインは封印しました。次回、必ず若い女の子と ・・・ )
突然だったので、彼(+スタッフ)には少し緊張感があったかもしれませんが ・・・ 。
印象としては、料理に接客と同じような “やさしさ” が加わっていました。
開店当初は自信がないせいか、ほとんどが “味のない料理” でした。
( 少しキツイ評価になっていますが ・・・ )
それから数ヶ月経って行った時には確かにマシになっていました。
ただし、まだどこか “借り物の味” でした。
( ここもキツイ評価をしておいて ・・・ )
そして、昨夜 ・・・ 彼(主人K)らしい料理の顔と味になっていました。
初めて彼の料理をまともに食べた気がしました。
( 付き合いが長い分、誰よりも辛口な評価をお許しください。 )
スタッフの動きに違和感がなくなっています。
( スタッフとして何をすべきかがわかってきています )
それから、お客様の顔つきがすこぶる良くなっています。
( このお店で素直に楽しんでくつろいでいます )
たぶん、主人のK氏が目指している “らしいお店” になりつつあります。
で、今日ようやくここで紹介することにしました。

これからの一層の活躍を期待しています!




■ 鉄板食房 『 素の壱 』 su no ichi
■ 大阪市西成区岸里1-2-15
■ Tel 06-6659-0178
■ 17:00~24:00(平日)
   16:00~24:00(日曜)
   (火曜日定休、但し営業の場合もあります)

【 店舗情報 】 ⇒ http://r.gnavi.co.jp/c080600/



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3 コメント

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Unknown (maruyoshi)
2008-03-25 21:59:23
k氏ワールド全開ですね。
行くと、もっとその世界に引き込まれそうです。

ゴールデンウィーク明けの1週間ほど
大阪に行く予定を組みました、

お時間取れれば
武遊伝・素の壱・P氏のお店等巡り
お付き合いください。
お願いしたします。
返信する
Unknown (maruyoshi)
2008-03-25 22:02:03
すいません。
武遊伝→武遊田でした。
誤字脱字は相変わらずです。
申し訳ありません。
返信する
その時は連絡ください。 (第五大成丸)
2008-03-26 00:02:33
maruyoshiさん、コメントありがとう。
 
過去、一緒に仕事をしていたメンバーが
それぞれのオリジナルカラーで活躍している
ことが、今の私にとって一番嬉しいことです。
 
もちろん、その時(GW明け)に私が大阪に
居れば、喜んでお供させて頂きますね!
近くなったら連絡ください。待ってます!
 
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