和尚の大和路

和尚が撮った大和路写真を中心に、
旅で見つけた写真なども・・・

伊勢湾台風の記憶

2015-09-26 00:47:52 | 風景写真
今日は9月26日です。

伊勢湾台風は1959年9月26日に上陸した台風です。
何故、伊勢湾台風なのか?
この度の鬼怒川決壊水害の報道で、
水害の内容が伊勢湾台風の被害に似ていたからです。

当時私は岐阜県養老町に住んでいました。
1959年ですから小学5年生です。
56年前ですね。
伊勢湾台風は愛知、三重県の伊勢湾岸の高潮を中心に、
東海3県で5000人を越える犠牲者を出しました。
鬼怒川決壊水害は伊勢湾台風の被害に似ていると書きましたが、
厳密に言うと養老町での被害です。

養老町は南半分が多芸輪中に含まれています。
輪中というのは堤防に囲まれた地域です。
多芸輪中は津屋川、牧田川、揖斐川の堤防に囲まれています。
住居地や農地(水田)は河川の水面より低いのです。
輪中の特徴として微高地に母屋から離れた“水屋”と言う倉庫があります。
“水屋”には水に流されては困るようなものが入っています。
“水屋”は各戸にあるわけではなく、そんなに多くありません。

揖斐川は説明しなくても分かるでしょう。
牧田川は上石津の山地に源を発する川で養老町の真ん中を走っています。
そして揖斐川に合流します。
津屋川は養老山地の扇状地の末端部分(扇端)の湧き水を集めて揖斐川に合流します。
養老の滝に源を発します。
堤防は左岸だけにしかありません。
右岸は扇状地の末端部分で勾配があるので堤防の必要がありません。
地形的に非常に稀な河川でしょうね。

余談ですが津屋川はNHKの番組の
「ダーウィンが来た」で巣を作る魚“ハリヨ”の棲む川として紹介されました。
子供の頃は“ハリヨ”はたくさんいました。
よく釣れました。
今はほとんど見られません。
また津屋川の堤防にはヒガンバナが咲くというので多くのカメラマンを集めています。

私の家は扇端部にあり、津屋川の堤防の高さより高かったので、
浸水はないだろうと近所の人が避難していました。
伊勢湾台風は夜中にやって来ました。
記憶によりますと早くから停電になっており、
近所の避難して来た人とロウソクを頼りに起きていました。
雨と風がひどいです。
風で部屋は平行四辺形に傾き、雨漏りは柱を伝っていました。
急に風が止んだので外に出てみると星が見えました。
誰かが台風の目だと言ったのを憶えています。
ほどなくして再び風が強くなりました。
西風に変わったんでしょうね。
田舎の家は土間が広いので前日までに避難して来た人の家財道具が一杯です。
朝起きてみると周辺が一変しています。
瓦が飛び、木は倒れ、堤防の向こう側は海のようです。
川が決壊して家屋の2階まで浸水していました。

鬼怒川の決壊を見ていると同じことを経験したんだなーと思いました。
それがきっかけで伊勢湾台風の記憶となる訳です。
養老町は伊勢湾台風で一人の犠牲者も出さなかったと聞いています。

伊勢湾台風では牧田川の根古地で決壊して
多芸輪中が水浸しになりました。
水深は今回の鬼怒川の決壊よりも深いです。(2階まで)
20日間以上も水に浸かっていました。
多芸輪中は海抜0メートル以下地帯もあり排水に時間がかかったのです。
避難場所の小学校はそのころ体育館などなくて、教室が避難場所でした。
そのとき学校の授業はどうなっていたか記憶にありません。

伊勢湾台風だけだとここで話は終わりますが、
実は伊勢湾台風の被害は2回目のことなのです。
伊勢湾台風は9月26日ですが、
これより44日前の8月12日の集中豪雨で
伊勢湾台風と同じ場所で決壊しているのです。
(伊勢湾台風が同じ場所で決壊した)
水没地域も全く同じです。
水が引いた時は稲は腐っていました。
この時点で農作物の収穫は0です。
水に強いはずのレンコンも腐ってしまったから
冠水時間が長すぎたのでしょう。

順序通り書くと、
8月12日の集中豪雨で決壊した堤防がやっと締め切られて
これから補強という所で伊勢湾台風です。
再び同じ場所で決壊です。
堤防の復旧は11月中頃までかかりました。
未曾有の水害が年2回起ったのです。

それから56年間、大きな水害はなかったのです。
でも、災害は忘れた頃に・・・と言いますが。


掲載されなかった画像 
衾田陵





そば花





千股池


山添村


道の駅(針)でのゴミ箱です。

この頃道の駅でもゴミ箱のない所があります。
コンビニでもゴミ箱が中にあります。
なんでも捨てるからゴミ箱が中にあると捨てられるゴミが減るということなんでしょう。
九州の旅で有料キャンプ場でゴミ箱のない所がありました。
原則、出したゴミは家に持って帰るのがマナーだからと言われました。
(バイクでの長期間の旅だったので引き取ってもらいました)