比良山無名の滝
長年山に登っていると何度か遭難しそうになったことがあります。
先日のブログで宝剣岳で引き返したことを書きましたが、
ああいった場面での遭難は少ないようです。
緊張して、注意深くなっているから、大丈夫なのです。
むしろ、下り坂の何でもないところでの遭難が多いです。
昨年の夏、山岳写真家の磯貝猛さんが北穂高岳の下りで転落死しました。
下から登ってくる人に道を開けるために谷側に身を移しましたが、
移したところの足場が浮き石だったので、そのまま滑落しました。
(浮き石・・・不安定でグラグラしている石)
磯貝猛さんは山本和雄さんの助手をしていた人で
何度もお会いしていただけにビックリしました。
今年の夏は宝塚の山岳写真家飛田貞夫さんが劔岳池の平で下山中に転落死しました。
大分前のことですが、和尚が山岳写真に一生懸命になっていた頃のことで、
同じ写真仲間の岩梨勉さんが冬の西穂高岳で
テントの中での一酸化炭素中毒で亡くなっていました。
ほとんどが不注意、いわゆるケアレスミスなのです。
行きはヨイヨイ帰りはコワイ、
100里の道も99里を半ばとする、
山では断然下りが要注意です。
足を痛めるのも下りです。
特に高齢で山に登る人は下りに慎重になって下さい。
さて和尚が遭難しそうになったのは2回です。
一回目は4月の立山です。
加藤文太郎の真似をした訳ではないのですが、単独行でした。
雄山を過ぎて、下りかかったところで、
雪を踏み抜き、室堂側(ターミナルのある側)に落ちました。
残雪が多かったので事なきを得ましたが、
ひとり苦笑いをしながら、這い上がって来ました。
二度目はスキー場でした。正月の八方尾根です。
八方池山荘で写真仲間と待ち合わせしましたが、
その日、東京で用事があって、八方のリフトに乗ったのが最終便でした。
風が強く最初のリフトだけが動いていました。
乗り継いでいくつもりが途中から歩きです。
リフトを降りて1時間もあれば十分だと考えていました。
カンジキを付けて登り始めましたが、猛吹雪であたりは暗く、
悪いことに持病?の喘息を発症して、呼吸するのもキツくなりました。
喘息が出てからの薬は効果がありません。
懐中電灯の光は吹雪の凄さを助長させるだけです。
さすが、ヤバイと思いました。
スキーゲレンデの中央で登るか、下りるか迷いました。
呼吸ができないので下りることにしました。
リフト小屋のドアをたたきましたが、風の音が強く中まで聞こえません。
しかたなく
リフト小屋の庇の下で風よけビバークつもりで寝場所を探しました。
着れるもの全部着込んで朝まで寝ない戦いを始めました。
そのうち明るい光が差してドアが開きました。
声をかけ、びっくりされたようです。
パトロール隊の人でした。
病院までつれて行きましょうか、と言っていただいたのですが
時間が経てば治まるので、小屋の中のスペース(階段の踊り場)を借りるようにしました。
これで凍え死ぬようなことはありません。
ちゃんと寝て、翌朝早く起きて、
夜から続いている吹雪の中を登り始めました。
八方池山荘に着いたのは宿泊者の朝食の後でした。
この時はずーっと吹雪で何も撮らずに下山しました。
比良山貴船の滝
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