風と僕の歩調

釣りが好きで、台所に立つ事が好きで、音楽が好きで、毎日の暮らしの中で感じたことを僕の言葉で綴ります

二十数年前のコーヒーの香り 『けせらんぱさらん』

2011年12月30日 | 回想録
その、喫茶店は、二十数年前と変わらない佇まいでその場所にありました。
20代の頃よく仲間と通ったお店。
本物のコーヒーの味なんて知らないくせに、背伸びしてね。
口を付けて苦みを味わうと、
「大人の味だね・・・」と誰かが言ってました。
もう、立派な大人なのに・・・。


「けせらんぱさらん」


通っていた本当の理由は、友人が勤めていたからなのです。
マスターの元で修行を積んで、将来、喫茶店を持つというのが彼の夢でした。

その後、バブルがはじけて一杯400円のコーヒーだけでは商いが出来ない時代に突入しました。

昭和の時代の喫茶店は、入ると「カラン、カラーン」とカウベルのような音がしてね。
店のカウンターには、成り立ての大人から見ると、人生のすべてを教えてくれそうなダンディな髭のマスターが渋い表情でコーヒーを挽いていたものでした。
穏やかなゆっくりとした空間がそこにはあったのです。

やがて時代の流れが速くなり「喫茶店でのんびり」といった行為が見られなくなると、駅前にはドトールから始まり、スタバ、ベローチェと、コーヒー豆直輸入の会社が昔ながらの喫茶店とは、趣を変えてコーヒーを飲ませるようになったのです。

彼の夢も儚く消えました。

「けせらんぱさらん」のマスターと当時の話をしていると、
貴方の友達は今もこのお店に息づいてますよとおっしゃいました。

このお店の、「その場で作るチョコレートムース」は、彼が作ったのだそうです。
「新しいメニューのイメージを湧かせ、食材を決めて、味を調えるまで、何度も試行錯誤しながら、原価を計算して売値を決める」
「彼は一生懸命取り組んでました」との事。

思わず、彼の生み出したメニューを注文しました。



表面は、溶きチョコレートの膜で覆われ、ムースはビターな大人の味です。
なぜか、当時の彼の顔が浮かんできました。
おまえ、こんな凄いの作ったんだ。


最近、会ってないけど正月には会えるかな





コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (ぽんぽちゃん)
2011-12-30 23:34:25
昔っぽい喫茶店って好き小伝馬町のちょっとオシャレな喫茶店で、年末最後に若者達とコーヒー飲んで、バイバイするのが楽しみでした。おとといも約束していたのに、私だけ体良く追っ払われました悔しいから、新宿で一人でソフトクリーム食べて帰りました
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ぽんぽちゃん♪ (風と僕)
2011-12-31 16:56:04
最近は、せわしないコーヒーしか、飲んでないし・・。
でも、何はともあれ
お仕事お疲れさまでした!
年末のご挨拶に伺えてよかったです

夏のBBQ楽しみにしてますっ

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