道しるべの向こう

ありふれた人生 
もう何も考えまい 
君が欲しかったものも 
僕が欲しかったものも 
生きていくことの愚かささえも…

せめてもう一度…

2020-11-07 17:54:00 | 日記

窓越しに手を振っているのは
僕に向けてのものなのか?

周りには誰も走っていないから
間違いなく僕に向けていると…

知り合いか?
見覚えはないけど…

もしかしたら
手を振っているのはキミ?
変わってしまった…


ふと
そんな思いが…

でもまさか…


少し離れた3階建ての窓越し
誰かが手を振ってるのは確か
目の悪い僕にも
それくらいはわかって…

少し戸惑ったあと
左手を小さく振り返すと…

それを確認したのか
窓越しの誰かは一層大きく手を振って
はしゃぎながら部屋の奥に消えていった


やっぱり
キミだったのかも…

いや
キミのはずはなく…

こんなところに
キミがいるわけがない

物忘れが多くなった
ジジイの錯覚…

でしかない

キミの面影すら覚束なくなったこの頃
煮えたぎるような想いに苦しんだ時を
忘れたいのか
忘れたくないのか…

忘れようとしても…

キミの幻想…

せめてもう一度…










左膝を故障してから
もうひと月以上…

この間までは
少しくらいなら走れたのに…

1週間くらい前から
全く走れなくなった

左膝だけじゃなく
左の股関節や臀筋あたりにも
新しい痛みの影…

整形外科にも行かず
YouTubeを参考に
自己流のストレッチばかりの産物?














いつもの公園の周回コース
ほんの慰み程度の速さで
何周か歩くのがやっとだった

どこかのジイさん
僕より全然年上に見える誰か
股関節を使わない素人っぽい
いかにもジイさん歩きなのに
軽く追い越されてしまうのがなんとも哀しい

ビッコを引き気味で歩く僕も
同じようにジイさん歩きに見えてるのか?
そうかも…



まるで一陣の風のように
今度は疾走していく少年
追い抜かれるのは3度目

中学生だろうか?
弾むような軽いフォームから
陸上競技者だと容易にわかる

蹴り足が異様に高く
シューズがお尻にくっつきそうなほど…

たとえ膝が治っても
僕にはあんな走りはできないだろう
絶対に…

若かった頃に
戻りたくても戻れないように…



次に近寄ってきた足音
思わず背後を振り返ると…

パーカーにキャップ姿で
小さく会釈してきたのは
若いお母さん?

若いのか若くないのか
ちょっと見じゃよくわからないけど…

お母さんなのかどうかすらも
判断がつかないけど…

ただ僕を追い越した後の後ろ姿
痩せ型で無駄な動きも少なく…

それに幾分ピッチも速いから
結構走りなれてるのだろう
きっと…

それにしても
走ってる女子ランナーの後ろ姿
若くても若くなくても
目の悪いジジイランナーには
みんな綺麗に見えてしまって…

(単に僕がエロジジイなだけか?)



歩いてる間
追い越されることはあっても
誰かを追い越すことはなく…

何もかもが
段々と遠く離れていくような
そんな感覚を覚えながらの1時間半あまり

もう走れないのだろうか
たとえ走れないとしても…

せめてもう一度…


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