3.
こうして、同病者の前向きな闘病の姿には勇気づけられていたが、自分の具体的な悩みとなるとなぜか話は別、逡巡は続いていた。女性ホルモンを抑えることにより冬の間中冷えに悩まされた私は、相変わらずホルモン療法に懐疑的になりがちだったのだ*。私の乳がん細胞を抑える効果があるかもしれない*ホルモン療法の一側面と、明らかに免疫力を下げてしまうホルモン療法の一側面と…両刃の剣の治療にとかく懐疑的になり、どちらの刃面を見ていたらよいのか決めかねて、刃をクルクルとひっくり返し続けていた。
そんなときに見つけたのが、ある新聞社主催、ある医薬品会社協賛の「女性だから知っておきたい乳がんのこと ~乳がんとともに生きていくために~」という無料招待のフォーラムだった。無料であることと、講師が乳がんコンサルタント会社の医師であるという設定に、一抹の不安がないわけではなかったが、今度は申し込みが通ったので好奇心半分で出かけてみた。会場は定員450名の9割方が埋まっているように見え、こんなに大勢の仲間、同志がいるのかと思うと、それだけで心強い気持ちになった。
フォーラムは二部からなり、一部がくだんの講師による講演で、二部がその講師・ある病院のナースマネージャー・ある乳がん患者会の副会長の3名によるパネルディスカッションという形式だった。
講演の内容で、私にとって新しい情報、有意義な情報と思われたものを挙げてみる。
◆補助治療について
術後の補助治療は初期治療として重要になってきている。中でも、ホルモン療法が化学療法に
勝るほど治療成績がよくなってきている。
特に、今までは「タモキシフェン*5年服用」治療が多かったが、「アロマターゼ阻害剤*5年服用」の
治療成績がよいことがわかってきている。但し、骨粗しょう症等の副作用がある。
◆再発と転移について
再発とは時間差的出現(一度がんが無くなったと判断されてからがんが見つかること)で、
転移とは場所的出現である。
乳がんの転移であれば、どこに出ても乳がんの性質を持っている。
そのため、他の場所でもホルモン治療が効く。
再発乳がんの治療の大原則は、急ぐ必要がなければゆっくり治療すること。
乳がんの転移に多い骨転移に関する具体的な治療法についても丁寧に説明がなされ、最後にまとめとして次のことが強調された。
・補助治療が初期治療として重要になっているので、しっかり補助療法をすること。
・再発させないためには、自分に合った確実な治療をしっかり受けること。
・再発したら、慌てずゆっくり無理のない治療をすること。
「再発しても慌てなくて大丈夫」という最後のメッセージにはとても励まされた。
* ホルモン療法と免疫学との関係については、過去記事「第6章 ホルモン療法 33.」「第6章 ホルモン療法 34.」「第6章 ホルモン療法 35.」をご参照ください。
* 今までの臨床データからいうと、3分の2の確率。
** タモキシフェン・アロマターゼ阻害剤については、過去記事「第6章 ホルモン療法 1.」をご参照ください。
こうして、同病者の前向きな闘病の姿には勇気づけられていたが、自分の具体的な悩みとなるとなぜか話は別、逡巡は続いていた。女性ホルモンを抑えることにより冬の間中冷えに悩まされた私は、相変わらずホルモン療法に懐疑的になりがちだったのだ*。私の乳がん細胞を抑える効果があるかもしれない*ホルモン療法の一側面と、明らかに免疫力を下げてしまうホルモン療法の一側面と…両刃の剣の治療にとかく懐疑的になり、どちらの刃面を見ていたらよいのか決めかねて、刃をクルクルとひっくり返し続けていた。
そんなときに見つけたのが、ある新聞社主催、ある医薬品会社協賛の「女性だから知っておきたい乳がんのこと ~乳がんとともに生きていくために~」という無料招待のフォーラムだった。無料であることと、講師が乳がんコンサルタント会社の医師であるという設定に、一抹の不安がないわけではなかったが、今度は申し込みが通ったので好奇心半分で出かけてみた。会場は定員450名の9割方が埋まっているように見え、こんなに大勢の仲間、同志がいるのかと思うと、それだけで心強い気持ちになった。
フォーラムは二部からなり、一部がくだんの講師による講演で、二部がその講師・ある病院のナースマネージャー・ある乳がん患者会の副会長の3名によるパネルディスカッションという形式だった。
講演の内容で、私にとって新しい情報、有意義な情報と思われたものを挙げてみる。
◆補助治療について
術後の補助治療は初期治療として重要になってきている。中でも、ホルモン療法が化学療法に
勝るほど治療成績がよくなってきている。
特に、今までは「タモキシフェン*5年服用」治療が多かったが、「アロマターゼ阻害剤*5年服用」の
治療成績がよいことがわかってきている。但し、骨粗しょう症等の副作用がある。
◆再発と転移について
再発とは時間差的出現(一度がんが無くなったと判断されてからがんが見つかること)で、
転移とは場所的出現である。
乳がんの転移であれば、どこに出ても乳がんの性質を持っている。
そのため、他の場所でもホルモン治療が効く。
再発乳がんの治療の大原則は、急ぐ必要がなければゆっくり治療すること。
乳がんの転移に多い骨転移に関する具体的な治療法についても丁寧に説明がなされ、最後にまとめとして次のことが強調された。
・補助治療が初期治療として重要になっているので、しっかり補助療法をすること。
・再発させないためには、自分に合った確実な治療をしっかり受けること。
・再発したら、慌てずゆっくり無理のない治療をすること。
「再発しても慌てなくて大丈夫」という最後のメッセージにはとても励まされた。
* ホルモン療法と免疫学との関係については、過去記事「第6章 ホルモン療法 33.」「第6章 ホルモン療法 34.」「第6章 ホルモン療法 35.」をご参照ください。
* 今までの臨床データからいうと、3分の2の確率。
** タモキシフェン・アロマターゼ阻害剤については、過去記事「第6章 ホルモン療法 1.」をご参照ください。