この本のサブタイトルは「いい人やめた!母と娘の挑戦」です。
これは タレントの東ちづるさんが ひょんなことから 自分が『アダルトチルドレン』であることに気づき、そして 自分の母も同じく『アダルトチルドレン』だったと知り、母を説得してふたりでカウンセリングを受ける過程を書かれたものです。
イメージ的に『アダルトチルドレン』というと 大人になれない大人という感じを受けますが、そうではなく 子どもの頃から過度の期待をされ、その期待に答えるために自分を抑え、精神的に不安定なまま成人になってしまい対人関係や性格に問題を持ってしまった人のことをいうようです。
東さんはご両親、特にお母さんからの期待に答えようと本当に一生懸命自分を抑え習い事をしたり勉強をしたりしてきました。
でも、当然合格するだろう、と思われていた国立大学の受験を失敗した時、お母さんから言われた「私の18年の期待を裏切ったわね。」という言葉にとてもショックを受けたそうです。
お母さんもまた 若くして母親になったために まわりの人から若いからだめなお母さん、と言われないように一生懸命に子育てをされていたそうです。
東さんもおかあさんも 周りの期待に答えようと本当に頑張ってこられて疲れ果てられたのでしょう。
「あなたはあなたでいいのよ。」と言われ、受け入れられることは本当に大切なことなんだろう、と思いました。
この本でいろいろ考えさせられることは多かったのですが ショックだった話は東さんが自分の高校時代のことを全く覚えていらっしゃらなかったことです。
どんな友達がいたのか、どんな授業を受けたのか、通学路すら全く記憶がないのだそうです。
この状態は『解離』と呼ばれ、つらかったこと、大きなストレスを忘れようとして忘れてしまうことなのだそうです。
自分がとても楽しい高校生時代を過ごしたので それができず 一生懸命『いい子』を演じていた東さんに驚いてしまいました。
大人も子どももストレスの多い現代社会、みんながもっと気楽に過ごせたらどんなにいいのだろう、でも、それができないのならせめて カウンセリングを受けたりすることがもっと普通にでき、みんながもっと楽な気持ちで生きられるといいなあ、と思いました。