
谷川岳に行く前日、時間があるからどこかに行こう、という話になりました。
最初は尾瀬に行こうと思ったのですが時間的に厳しいから別の場所を考えよう、と言ったときにツレアイが突然「伊香保だっ!」と言い出しました。
伊香保といえば『竹久夢二伊香保記念館』です。
そう、以前母とツレアイと三人で竹久夢二記念館を訪れた時、偶然出会った館長さんから9月に『黒船屋』の特別展示があるから その頃いらっしゃい、と言っていただいたことを思い出しました。
調べてみると丁度『黒船屋』の特別公開期間でした。 さっそく予約を取り わくわくしながら記念館へ。
『黒船屋』に出会うことも楽しみでしたし以前親切にいろいろ教えてくださった館長さんにもお目にかかれるとうれしいな、と思いながら・・・・
時間になるまで案内の方に記念館の別館の儀山楼や夢二子どもの館を案内していただきました。
そしていよいよ時間になり 本館三階の『蔵座敷』へ。
こちらの部屋は『黒船屋』鑑賞に一番合うように設計されたお部屋だそうです。
『黒船屋』公開時期以外は季節に合った作品が飾られているそうです。
蔵座敷に通されたものの『黒船屋』と私たちの間はふすまで仕切られています。 学芸員さんの説明を伺いドキドキ感が極まったところでふすまが開けられました。
・・・・・・・その迫力に思わず『おお!』という声があがりました。
上に載せたのは絵葉書です。 記念館の展示物の中には『黒船屋』のレプリカが飾られておりその絵はよく知っているものでした。 でも本物の迫力、凄みはまったく別物でした。
この作品は100年前からずっと大切にされ生き続けているのです。
本物の力強さに圧倒されたのは子どもの頃 上野美術館にやってきた『モナ・リザ』に出会って以来でした。
大切に大切にされてきた夢二の代表作『黒船屋』の作品のストーリーも心躍るものでしたが それ以上に感激したのはこの作品が持ち主たちにどれほど愛され慈しまれてきたか、ということです。
これだけのすばらしい作品なのに なんとこの作品はお金でやり取りをされたことがないのです。
この作品を心から愛した歴代の持ち主は多くの画商などから高額で買い取りたいという話を無視し、この作品を一番大切に愛してくれる人に託してきたのです。
最初の持ち主は夢二を尊敬してた表具師さん。夢二の作品が欲しいと願い本人に直接絵を描いて欲しいとお願いし描いてもらったのがこの『黒船屋』です。
絵の代金のことをまったく考えていなかった彼は集められるだけのお金を集め夢二におそるおそる差し出したところ お金はいらない、と言われたそうです。 いくらなんでもそんなわけにはいかない、と当時のお金で75円を渡してこの絵を貰ったそうです。
その後は夢二研究家に託され、そして次に竹久夢二伊香保記念館の館長さんに手渡されたそうです。
代々の持ち主たちの愛情に守られこの絵は100年の時を過ごしてきました。 この絵の持つ迫力はその持ち主たちの熱い思いも加わっていると思います。
絵のモデルは最愛の恋人彦乃さん。 ふたりの秘めた恋、その思いが絵から溢れています。彦乃さんに抱かれる黒猫は夢二だとも言われているそうです。
作品を鑑賞したあと うれしい再会が

木暮館長さんにお目にかかれ 夢二についてや『黒船屋』について館長さんの深いお話を伺う機会を得ました。
本当に夢のような時間でした。 感謝のひとことです。
『黒船屋』は現在特別公開中です。 本物の作品の姿についてはここには書かないでおきます。 ご自身であのすばらしい作品の感動を味わっていただけたら幸いです。