パリのヴォージュ広場で300年の伝統を誇る「王妃の館(シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ)」は、世界中の観光客あこがれの最高級ホテル。この15室しかないホテルの知名度を利用し、倒産寸前の旅行会社が企画した起死回生策とは、「王妃の館」に滞在するパリ10日間149万8000円の超豪華「〈光(ポジ)〉ツアー」と、19万8000円の格安「〈影(ネガ)〉ツアー」を同時に催行し、ツアーの「二重売り」によって月末の手形決済を切り抜けようというもの。
しかしながら、両ツアーともに、参加者はひとクセもふたクセもある個性派ぞろいで、参加者たちが繰り広げる予想外の事態により、ツアーの二重売り計画は次々と危機にさらされ、破綻していく。トラブルの連続、突拍子もないギャグ連発のドタバタ人情劇は、エンターテイメント性たっぷりに楽しませてくれる。この現代劇の合間に、17世紀の「王妃の館」にまつわる逸話が、しっとりとした趣で織り交ぜられていく。
パリが舞台となっていて観光気分で楽しくなってくる(ベルサイユ宮殿、セーヌ河、ブローニュの森etc)
プリズンホテルに良く似た場面設定で、可笑しくてやがて悲しき・・・展開
パリヴォージュ広場の片隅にひっそりと佇む王妃の館
ルイ14世が窮姫のために建てた城(架空?)
ルイ14世の隠し子プチ・ルイの抒情的な美しいお話はまるで世界名作劇場←(個人的にはものすごくお気に入りの部分です)
その昔話を聞きながら涙するそれぞれ(光と影)のツアーのメンバーが繰り広げるどたばた劇場・・・
現実とは思えない無理な設定ではあるが、そこは浅田次郎さんの力量で最後まで力でねじ伏せる
食事という形で人から人へ伝えられる愛
ルイ14世が食べたとされる宮廷料理の描写がまたすばらしい
幸せか不幸せかは己が決めるもの
はじめから勇気をもっているものはいない・・・勇気は生み出すもの
浅田さん独特の義理人情に篤い倫理観でびしっと締めてくる
人間の魂を生きながらにして物語の中に絡め捕るは・・・作家の冥利・・・と作中に登場する人気作家北白川右京先生は言っていた
まさしくその作品でありました