久しぶりに徳力富吉郎「版画京都百景」再開です。
今回紹介するのは「祇園町」と「祇園一力」です。
作品「祇園町」昭和8年(1933)

作品解説文
四条花見小路の角である。夜も少しふけて夜泣き蕎麦の屋台が出ている。
舞妓の家路に急ぐ姿も見られる。
都踊り開演中は毎年、四条花見小路角このアーチが建つ。
そして家々に団子つなぎの提灯や都踊りの立札が並び、華やかな色町風景の哀愁といったものが漂う。
昨日撮影の同じ景色

都おどりは現在も開催されている春の風物詩です。
版画は昭和初期の祇園の風情がでていて心地よいです。
今は観光客がごったがえし、情緒溢れる花街の風情が少なくなっているように思います。
当時は入口に警察官が立っていたのですね。今は警備員です。
作品「祇園一力」昭和40年(1965)

作品解説文
「万亭」が本当の名であるが、万という字を、一と力に別けて読む。
この店の紅色の壁は、祇園を象徴する。
主人杉浦岩次郎君に聞くと、この紅壁を塗り変えるのだが、その時分に塗った左官がいなくて、色の調合に一苦労すると言っていた。
この色が浅くても、濃くても祇園町情緒は出ない。いろいろと苦心があるものである。
京の夜や遊びのはての寂しさを
かたるがごとき宗達の幅 勇
昨日撮影の一力赤壁

私にも見慣れている一力の赤壁ですが、色合せの苦労があるとは知りませんでした。
歩行者マークが舞妓の姿ですが、その当時はこういうのがあったのでしょうか。
今は外国人観光客へのマナー啓発立看板が立っています。
もう一枚京都の木版画家井堂雅夫(1945ー2016)の作品です。
祇園一力

追加
東山魁夷の「京都四季」(1969年)にも 「一力(祇園)」があります。
紅壁は芸術家にも魅力的なようです。
