モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その72:狩猟採取民のバンドから学ぶ ② 狩猟採取から離れていく生活

2008-11-19 09:07:46 | ときめきの植物雑学ノート
「持つことによって増えた“欠乏感”と“貧困”」

南アフリカに棲む狩猟採取民は、いま必要とするもの以上を採取しないことがバンドの生存ルールであることを承知し実践し、これにより豊かな生活を享受できた。
確かにそうかなと思うところがある。
誰かが独り占めをしようとすると争いとなり豊かさどころか生命すら危なくなるだろうから、必要以上に採取しないということは賢明な策だと思う。

(写真)ほっこりサフェリー

出典:Kapstadt org

牧畜生活で獲得したもの
ヨーロッパ人が入る頃には牧畜生活が始まっていたようだが、牧畜生活を始めることにより、家畜を所有する、もっと所有したいという欲求が芽生え“利欲”という新しい欲求を獲得したようだ。
もっと所有したいという欲求は、欠乏感をうみだし精神的な“貧困”が発生したという。

しかも牧畜生活は、狩猟採取生活よりも労働時間が長く、時間が失われ芸術的な能力を欠落させて行くことに気づくがもう後戻りは出来ない。
食糧が安定化するという牧畜生活のメリットを捨てることができなくなり、もっと~もっと~という欠乏感の方が強まっているからだろう。

ヨーロッパ人が階級化による貧困を持ち込んだ
あえて書くまでもないが、オランダ人をはじめとしたヨーロッパ人の進出は、
労働力としての移民、奴隷の導入により一等市民、奴隷、そしてあいまいな原住民という階層的な身分社会となり、精神的だけでない決定的な“貧困”と“貧困階層”が成立した。

狩猟採取民族には、今日採ってきた食糧を、バンド仲間に分け合う贈 与という風習・仕組みがあり、誰かが自分だけストックしない限り、分け合った結果は、個々人の能力で今日採ってきた食糧の総量に等しくなるそうだ。
みんなに食糧を分け合うということにより、必要以上を採って来なかったというバンドのルールの維持と、これによる豊かな時間が享受されていた

必要以上のものが保存・蓄積されると財産となるが、モノだけを追い求めると精神的な貧困に陥るというのは理解できる。

利用されないモノ・財はいずれゴ ミとなる運命にある。ならば、ゴミからさかのぼって豊かさを考える必要がありそうだ。

蛇 足
狩猟採取民の生活と自分及び家族の生活を対比すると、消費だけの豊かさを享受しすぎており、平和で地球の資源が無尽蔵でなければ継続しにくいと思うに至る。
しかし、歴史をかけて構築された今日の社会システムを、狩猟採取民族のシステムに戻すことは不可能だ。だが、ここからできることを学ぶとすると

1.ゴミを出さない
2.ゴミをつくらない
3.必要以外なものを所有しない。取得しない。取得する時はいいものにする。
4.長く使う。修理する。
5.趣味から“つくる”領域のスキルを磨き消費から離れてみる行動計画を持つ。

といった消費のエコロジー発想になる。

こんなことやられたら困る。これで景気の浮揚は出来るのかという指摘が必ずあるが、これまでの延長線上に景気回復するほどのタネはなさそうだ。
世界的な構造調整期が5~10年続くと見た場合、明治の変革(農村人口を工場に移動)
昭和の変革(ドメスティック対応からグローバル対応を強化)に続く産業構造の変革で就業構造をかえる産業の育成が必要になると見る。これまでの産業には就業者を拡大する余地はあまりなさそうだ。

その先導役は国内総生産の6割を占める消費の構造をかえることにあり、
「必要なものを最小限買い、長く使えるいいもの」が基本で、モノの消費を減らすことによりこれまでより余剰が出た家計費を、時間と豊かさをつくるためのサービスに使えるように関連産業を充実する必要がありそうだ。

いままでの政府(自民党・公明党、官僚)は、福祉・医療・介護・教育を削り、家計に押し付けてしまったので、充実させなければならない産業が枯れ、家計も枯れ、消費も低迷する大罪を犯してしまった。

省エネ技術、ロボット技術、IT技術に伝統工芸とエンターテイメント業界の美的なスキルなどリソースはあるのでゼロからの出発ではない。

ゴミを出さない、必要なものしか買わない、たんす預金を増やす。
これがこの数年のトレンドだと思うが、これを前提としたこの先の日本・世界を描いて欲しい。
そうすると、2兆円のバラマキという政策は出来ないはずだがいかがだろうか?
考えていないから出来た愚策としか思えない。
リーダーが考えなくなったらリーダーではいられない。バンド全員の死を招くからだ。

多くのモノに囲まれていると一時は充実する。しかし、その上があることを知ると不満・不足・欠乏感そして不幸を感じてしまう。この精神的な不安定感は歯止めがない。
ここから脱するには、いずれゴミとなるものに囲まれた生活をしていると思うことからはじまる。本当に必要なものは意外と少ないはずだ。

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