オールドローズのシリーズに入るので、これからアンティーク タッチのバラを数種掲載する。
(いずれも野田市にある清水公園花ファンタジアのバラ園で11月中旬に撮影。)
アンティーク タッチのバラは、中心が四分割したロゼット咲きやカップ咲き、そして濃厚な香り
といったオールドローズの特色を引き継いだバラの総称をいう。
(写真) ピエール・ドゥロンサールの花

ピエール・ドゥロンサールは、フランスのメイアン社が作った
クリームが入ったような白色に淡いピンクがかかる落ち着いたクラシカルな花姿が人気となっており、
バラの名前は、「詩の貴公子」と称された16世紀のフランスの詩人から採っている。
ピエール・ドゥロンサールPierre de Ronsard
・系統:Antique Touch Roses(アンティーク調ローズ)CL(クライミングローズ)
・作出:1989年 フランス メイアン社
・花色:白色に中心が淡いピンクのクラシックなカップ咲き。花径9-12cm
・咲き方:辺咲き大輪
・樹高:300cm ツル性
・芳香:微香
ピエール・ドゥロンサール(Pierre de Ronsard 1524–1585) は、"prince of poets(詩の貴公子)"
と呼ばれたフランスの詩人。1552年に発表した『恋愛詩集』(Les Amours)が代表作。
※参考:大阪大学文学部、岩根久先生の講座「ロンサール研究」サイト
(写真)“木洩れ日”(バラ園がある清水公園の風景)

バラの野生種:オールドローズの系譜①
“ノバラ”と人類とのアーティスティックな出会い
バラは、バラ科バラ属の落葉或いは常緑の低木およびつる性植物の総称で、
これらから交配された園芸品種を多数含む。
園芸品種は実を結ばないのでローズ・ヒップシロップ(rose-hip syrup)を作れない。
また、園芸品種の開発のスタートは、ジョゼフィーヌのマルメゾン庭園といってもよく
1800年の初頭からはじまったわずか200年の歴史だ。
園芸品種の親となる野生種は、世界で約200種あるといわれ、
日本には14種ほどの野生種がある。
このバラの野生種は、北半球だけに自生し南半球にはバラの野生種がないというから実に不思議だ。
バラの祖先ノバラは、いつごろから自生していたのだろうか?
アメリカのコロラド州で発見されたノバラの化石は、7000万年~3500万年前のものといわれる。
日本でも400万年前のバラの化石が兵庫県の明石で発見されたという。
人類が登場してからは、バラはアーティストの感性を刺激し続けたようだ。
例えば、
・紀元前2000年頃の世界最古の文学作品といわれるバビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』には、「女神イシュダルが花の香りをかぐ」と書かれている。また、「バラのようにトゲがある草が海の底にあり若返りが出来る」とも書かれている。この叙事詩を斜め読みすると“ノアの方舟伝説”のようでもあり旧約聖書を含めてストリーテイラーの存在を感じる。
・紀元前1500年頃のギリシャ・クレタ島のフレスコ(壁画)にバラと思われる絵が描かれており、絵画に描かれたバラとしては最古のものという。オリジナルはクレタ島のイラクリオン考古学博物館にあるそうだ。
・古代ギリシャのホメロス(BC800年頃)は最古の叙事詩といわれる『イーリアス』『オデッセイア』で“バラの頬”を若いヒトの美しさとして表現している。
・BC600年頃の女流詩人サッフォーは、バラを『花の女王』と詠っていたという。、この時期には評価が固まっていたようだ。
人類が記録を残してからのバラは、現存する世界最古のアートに登場するぐらい魅力ある存在になっていた。
美しく香りよいだけでなくトゲがあるところがよかったのだろうか?