警察、「大垣事件」に無反省
参院委 井上議員が追及
岐阜県警大垣警察署の警備課(公安警察)が市民4人の個人情報を電力会社に提供し、監視への協力をけしかけた「大垣警察市民監視事件」。名古屋高裁は9月、警察による市民監視を違法とし、岐阜県に市民に110万円ずつ(計440万円)の賠償と、県警が収集した4人の個人情報の抹消を命じました。19日の参院内閣委員会では、日本共産党の井上哲士議員がこれまで「通常の警察業務」と国会答弁していたことが違法とされたことへの反省を問いました。
坂井学国家公安委員長は「警察活動は『公共の安全と秩序の維持』という責務を果たす上で必要な範囲で行われるべきものであり、大垣署員の活動もそのような考え方を念頭に行われた。しかし、結果的に活動は違法だとの判断が示された」と、同署をかばいました。
高裁判決は、県警が監視の必要性などを裁判で主張・立証しなかったことを批判しています。井上氏は「警察は判決を受けた通達で、『重く受け止める』としているが、今後は個別的具体的に主張・立証していくということか」とただしました。
これに警察庁の迫田裕治警備局長は「個別具体の場面に応じて、適切な判断がなされるよう、指導したい」と答弁。井上氏は「結局、これまでと変わらないということだ。(判決は)これまでのような公共の安全を名目にしたフリーハンドは許されないとしている。今の答弁は(判決を)受け止めていない」と批判しました。
上告断念後に岐阜県警は4人の個人情報を抹消したとしています。井上氏は、岐阜県警が細断した49件の文書の中に、判決が抹消を命じた個人情報の一部が含まれていないと指摘。「(警察と電力会社の会合の)議事録に書かれている個人情報なのに、それに対応する警察側の文書がない。これでは原告は納得いかない」とのべました。
大垣警察市民監視事件 中部電力の子会社シーテック(シー社)が計画する風力発電所について予定地の三輪唯夫さんと松島勢至さんが勉強会を開いたことを契機に、岐阜県警大垣署の警備課長らとシー社が2013年8月から10カ月にわたり計4回の住民運動つぶしの会議をした事件。警備課は三輪さんの他、風力発電所と無関係の近藤ゆり子さんと船田伸子さんの個人情報をシー社に伝え、シー社から大垣署に情報提供させていました。情報には学歴や病歴、親交関係と共に数十年前の住民運動の参加歴などのプライバシー情報が含まれていました。シー社の議事録が14年に報道で明るみになりました。9月の名古屋高裁判決は岐阜県が上告を断念し、確定。原告と弁護団が11月に、県警から抹消方法について説明を受けました。
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