21世紀政策研究所と言う経団連系のシンクタンクがあるがそこから2009年3月に”地域経済圏の確立に向けた道州制の導入と行政改革”と言うレポートが出されている。当然経団連系と言えば推進派であるが、其の中で道州制の”問題点”も指摘がされている。
道州制導入に伴う懸念・課題としてそれは何かと言うと
①道州内格差の拡大として
州都への一極集中(旧県庁所在地の衰退)。ミニ東京問題
②道州間格差の拡大として
既存のインフラ格差が、企業立地を通じて道州間格差に繋がる。
特に民間部門での人材力格差是正は容易ではない。
規制、課税、教育、社会保障などでの格差が生じる、また広域展開する企業のこれらに対する事務負担が大きくなる。
国の調整機能が失われることで、かえって格差が拡大する。
格差が解消するとは明確に言いがたい。
③道州や基礎的自治体の規模が過大
道州政府が住民から遠くなる。きめ細かい対応が出来ない。
基礎自治体も合併と効率化により、住民との距離が生じ、サービスの低下を招く。
県がなくなることで、離島などの小規模自治体への補完機能が弱まる。
道州の権限拡大は、基礎自治体の力を相対的に弱める。
④都道府県のアイデンテイテイーが喪失
文化、伝統、郷土意識などの喪失
数合わせ的な市町村合併の強制は、住民自治の崩壊に繋がる。現存する町村と多様な自治の有り方を否定する。
都道府県単位の行事などが出来なくなる。
⑤各都道府県で住み分けている地場企業の問題
地銀、放送局、新聞社などの再編・淘汰や雇用減に繋がる。
⑥国家としての統一性の喪失
国家の力が弱まる。
技術開発等の国家的プロジェクトへの影響
⑦その他
まずは地方分権を推進すべき。
国民の理解と賛同があって、はじめて成り立つ。
としているのでありますが、では推進派としては当然、これらの対応を用意していると思いきや述べられているの
ア)”人口減等により将来もたちいかない”とか又、
イ)”基礎自治体が従来の県の業務の一定割合を任う事で、むしろ行政と住民との距離は近くなる”として
ウ)”否定からは現状以上のものは生まれず、現状も又衰退してゆくのみであるから。”
とだけしか述べておらず全く持ってこれだけでは推進の根拠薄弱としか言いようが無いでありましょう。基礎自治体が県の業務の”一部”を担うと言っても市等で規模がある程度大きければそれも可能でありましょうが一般町村等では果たしてそう簡単に行くかどうか疑問の生ずる所でありましょう。(更なる大合併運動が必要になる)
これら①~⑦は全てやはり深刻な問題であり、この報告が人口減をその推進の大きな理由に挙げているのも原因とその処方箋を誤っているとしか言いようが無く、それを言うなら年収300万円で明らかに婚姻率に差が出ると言った事のほうがその大きな原因と言うべきでありましょう。
又まともな回答も無い中、更に特に維新の会等はTPP参加、地方交付税廃止、更に消費税地方税化を唱えている訳でありまして、これら全てが実施されるならこの日本国の大都市部以外は殆ど衰亡の危機にされされる事は全く予測される所であります。