2011年7月3日、天津市にある視覚障害者の日本語学校を見学してきました。
今日は聴解、ボランティアの女性一人、生徒4人の授業でした。
目が見えないのに、どうやって日本語を勉強しているのだろう、
耳が頼りなのは想像できるけれど、どうやってメモを取るのだろう、
点字というのは聞いたことがあるけれど、どうやって打つのだろう、
そして、
目が見えない人同士は、どうやってコミュニケーションを取るのだろうか、
そういう疑問があったので、授業を見に行きました。
その教室は、天津市の中でもはずれのほうにある小さな団地の中にあり、
すぐには見つけられません。
何しろ、学校の門もなく、表札も表にはないのですから。
とここまで書いて、気がつきました。
大きな門や表からはっきりみえる表札は、「目が見える人」には
必要だけれど、目が見えない人には必要ないのですね。
閑話休題
校長である青木先生は、とってもきれいな方でした。
そして、かわいい方でした。
私より年上の方をこのように表現するのはよくないことですが、
本当にきれいでかわいく、そして楽しい女性でした。
何しろ、○躍さんという学生に、
「オウは王様の王です。ヤクは活躍の躍です。薬物のヤクではありません」
という自己紹介の方法を教えているぐらいです。
授業中も、その学生のことを「ヤッキー」、
他の学生も、「○○お姉さん」「姫」などと呼ぶような先生で、
目が見えなくても中国語を勉強し、学校まで作り、日中の政府から表彰され、
NHKの取材も受け続けている女性とは、とても思えませんでした。
青木先生の影響でしょうか、
生徒さんたちも、いたずらや冗談が好きで、
まじめに授業を受けている人は、いませんでした。
(青木先生、ごめんなさい。あとでちゃんとフォローします)
私のとなりの女性は、もう一人の女性にちょっかいを出して
怒られていましたし、姫と呼ばれていた学生は、先生が何を聞いても
「分かりません」と答えていたので、先生から「本当は知っているんでしょ?」
とつっこまれていました。
ただ、質問の内容が、「彼女がいる相手を好きになった女の子の気持ち」でしたので、
私は姫に同情します。
ただ一人の男性である○躍さんは、
日本語の放送を中国語に訳すときに、
「それは日本人の中国語です」とつっこまれていました。
こんな具合で、なんだか大学の教室とは全く違う雰囲気で
授業が進んでいきました。
さて、みなさんは、このような学生たちの日本語のレベルはどのぐらいだと思いますか?
普段は仕事をしているので、日本語の授業は週に一度だけ、
それも、青木先生が中国にいるときだけです。
例えば、今回の授業は、5ヶ月ぶりとのことです。
そして、彼らは目が見えません。
みなさんだったら、5ヶ月ぶりの日本語の授業の聴解に、どんな材料を使いますか?
1年生のテキストですか?2年生のテキストですか?
今日、私が見た授業では、
NHKの特集の音声を使っていました。
内容は、「孫文と岡谷正吉」です。
私の知っている範囲では、そのテープの日本語が聞き取れる
2年生は、ほとんどいません。3年生でもちょっと難しいでしょう。
そんなの信じられないという人は、ぜひ、インターネットで
「孫文と岡谷正吉」について調べてみてください。
そして、その文章を音声だけで、日本人の自然なスピードで聞かされて理解できるかどうか、
想像してみてください。
(授業の方法については省略します。
ただ、来学期の聴解の授業のヒントを得ることが出来たということだけ書いておきます)
それが終わると、日本の歌を2曲聞いて、意味を確認しました。
これも、すごいスピードで進んでいきます。
大学本科だったら、1曲聞き取るのに、場合によっては数十分を費やすかもしれません。
また、その曲も、最新のドラマの主題歌や東日本大震災後に発表された応援の歌だったり、
私も初めて聞いたものばかりでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
授業のあと、感想を求められたので、以下のことを述べました。
1.日本語のレベルは、大学2年生の中でも上位だと思います。
(実際、数年前に2級は合格済みの学生ばかりでした。週に一度の学習ですから、
大学本科生の何倍もの時間がかかるのです)
2.いたずらっ子や冗談が好きな先生の授業は楽しいです。
3.目が見えない人とのコミュニケーションは難しいです。
4.大学本科生にも、みなさんのように琵琶を演奏したり(「千手観音」の伴奏をしたそうです)
踊りを習ったり、歌を練習したりして、文化・芸術的なものに触れて欲しいです。
5.視覚に頼らない日本語学習を初めて見て、どう理解したらいいのか、分かりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、八月のカラオケ大会に誘われましたので、
ドーナツのメンバー数人と伺うことにしました。
青木先生からは、
「その後の飲み会にもぜひ…」と言われ、本当にお酒が好きな先生なんだなと思いました。
もしかしたら、飲み会をやりたくてカラオケ大会をするのかな、と思ったぐらいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青木先生は、
「特に、大学生の人たちには、障害者と交流する経験をしてほしい」とおっしゃっていました。
「ボランティア」ではなく「交流」なのですが、それは、実際にやってみればわかります。
というわけで、ドーナツを通じて、
天津市の大学生達が、日本語を学ぶ視覚障害者とどのように交流できるのかを考えることにしました。
これは、ドーナツ設立前から考えていたことですので、発想から3年目にしてようやく実現できるということです。
ボランティアのつもりで参加する学生が、どのように変化していくのか、楽しみにしています。
今日は聴解、ボランティアの女性一人、生徒4人の授業でした。
目が見えないのに、どうやって日本語を勉強しているのだろう、
耳が頼りなのは想像できるけれど、どうやってメモを取るのだろう、
点字というのは聞いたことがあるけれど、どうやって打つのだろう、
そして、
目が見えない人同士は、どうやってコミュニケーションを取るのだろうか、
そういう疑問があったので、授業を見に行きました。
その教室は、天津市の中でもはずれのほうにある小さな団地の中にあり、
すぐには見つけられません。
何しろ、学校の門もなく、表札も表にはないのですから。
とここまで書いて、気がつきました。
大きな門や表からはっきりみえる表札は、「目が見える人」には
必要だけれど、目が見えない人には必要ないのですね。
閑話休題
校長である青木先生は、とってもきれいな方でした。
そして、かわいい方でした。
私より年上の方をこのように表現するのはよくないことですが、
本当にきれいでかわいく、そして楽しい女性でした。
何しろ、○躍さんという学生に、
「オウは王様の王です。ヤクは活躍の躍です。薬物のヤクではありません」
という自己紹介の方法を教えているぐらいです。
授業中も、その学生のことを「ヤッキー」、
他の学生も、「○○お姉さん」「姫」などと呼ぶような先生で、
目が見えなくても中国語を勉強し、学校まで作り、日中の政府から表彰され、
NHKの取材も受け続けている女性とは、とても思えませんでした。
青木先生の影響でしょうか、
生徒さんたちも、いたずらや冗談が好きで、
まじめに授業を受けている人は、いませんでした。
(青木先生、ごめんなさい。あとでちゃんとフォローします)
私のとなりの女性は、もう一人の女性にちょっかいを出して
怒られていましたし、姫と呼ばれていた学生は、先生が何を聞いても
「分かりません」と答えていたので、先生から「本当は知っているんでしょ?」
とつっこまれていました。
ただ、質問の内容が、「彼女がいる相手を好きになった女の子の気持ち」でしたので、
私は姫に同情します。
ただ一人の男性である○躍さんは、
日本語の放送を中国語に訳すときに、
「それは日本人の中国語です」とつっこまれていました。
こんな具合で、なんだか大学の教室とは全く違う雰囲気で
授業が進んでいきました。
さて、みなさんは、このような学生たちの日本語のレベルはどのぐらいだと思いますか?
普段は仕事をしているので、日本語の授業は週に一度だけ、
それも、青木先生が中国にいるときだけです。
例えば、今回の授業は、5ヶ月ぶりとのことです。
そして、彼らは目が見えません。
みなさんだったら、5ヶ月ぶりの日本語の授業の聴解に、どんな材料を使いますか?
1年生のテキストですか?2年生のテキストですか?
今日、私が見た授業では、
NHKの特集の音声を使っていました。
内容は、「孫文と岡谷正吉」です。
私の知っている範囲では、そのテープの日本語が聞き取れる
2年生は、ほとんどいません。3年生でもちょっと難しいでしょう。
そんなの信じられないという人は、ぜひ、インターネットで
「孫文と岡谷正吉」について調べてみてください。
そして、その文章を音声だけで、日本人の自然なスピードで聞かされて理解できるかどうか、
想像してみてください。
(授業の方法については省略します。
ただ、来学期の聴解の授業のヒントを得ることが出来たということだけ書いておきます)
それが終わると、日本の歌を2曲聞いて、意味を確認しました。
これも、すごいスピードで進んでいきます。
大学本科だったら、1曲聞き取るのに、場合によっては数十分を費やすかもしれません。
また、その曲も、最新のドラマの主題歌や東日本大震災後に発表された応援の歌だったり、
私も初めて聞いたものばかりでした。
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授業のあと、感想を求められたので、以下のことを述べました。
1.日本語のレベルは、大学2年生の中でも上位だと思います。
(実際、数年前に2級は合格済みの学生ばかりでした。週に一度の学習ですから、
大学本科生の何倍もの時間がかかるのです)
2.いたずらっ子や冗談が好きな先生の授業は楽しいです。
3.目が見えない人とのコミュニケーションは難しいです。
4.大学本科生にも、みなさんのように琵琶を演奏したり(「千手観音」の伴奏をしたそうです)
踊りを習ったり、歌を練習したりして、文化・芸術的なものに触れて欲しいです。
5.視覚に頼らない日本語学習を初めて見て、どう理解したらいいのか、分かりません。
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その後、八月のカラオケ大会に誘われましたので、
ドーナツのメンバー数人と伺うことにしました。
青木先生からは、
「その後の飲み会にもぜひ…」と言われ、本当にお酒が好きな先生なんだなと思いました。
もしかしたら、飲み会をやりたくてカラオケ大会をするのかな、と思ったぐらいです。
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青木先生は、
「特に、大学生の人たちには、障害者と交流する経験をしてほしい」とおっしゃっていました。
「ボランティア」ではなく「交流」なのですが、それは、実際にやってみればわかります。
というわけで、ドーナツを通じて、
天津市の大学生達が、日本語を学ぶ視覚障害者とどのように交流できるのかを考えることにしました。
これは、ドーナツ設立前から考えていたことですので、発想から3年目にしてようやく実現できるということです。
ボランティアのつもりで参加する学生が、どのように変化していくのか、楽しみにしています。