創造の神さまが、多くの植物や、動物を作ったあと、いよいよ、人間を創る作業をなさった。
ようやく、男と女の形は完成した。
神は神聖な蜂を呼んだ。
「さて・・・」と神は、まだ考え込んでいる。
蜂は、神の考えがまとまるまで、ジッと根気よく待った。
やがて、神は言った。
「ここに、人間の男と女がほぼ出来た。さて、それぞれの心に、何を足してやったらよいかを考えていたのだよ。
私は、男には、敵と闘う荒々しい力と、弱いものをいたわる優しい心を授けようと思う。
そして、女には、敵から我が子を守り抜くたくましい力と、我が子をひたすら慈しむ力を加えてやることにしよう」
蜂は言った。
「それでは公平ではないと、不平を言うモノが出ましょうね」
神も頷いた。
「仕方あるまい」
蜂は飛び上がり、神秘の花園から、まず“あらあらしい力”のエキスを採って帰ってきた。
神は迷わず言う。
「そのエキスは男の方に」
蜂は、男の唇に一滴を注いだ。
「さ、こんどは“子供を守る力”を、女の唇にたのむ」
蜂は、忠実にそれを実行すると、聞いた。
「今度は“優しい力”を男にですね。女にではなく」
「そうだ。男の唇に“優しさ”だよ」
蜂は、それを忠実に実行しようとした。
「ちょっと待ってくれ、あ、結構、やはり、それは男にだ」
神は、少しだけ迷われたのだ。
蜂は、最後のエキスを採りに花園に出掛けた。
神は、珍しく深く、お迷いになっているらしい。
蜂は、最後の“慈しむ力”を持って帰ってきた。
そのとき神は、決断した。
「蜂よ。そのエキスは、半分づつ男と女に与えてくれ」
蜂は、“慈しむ力”を、半分男に、半分女に与えると言った。
「男の方が二滴と半、女の方が一滴と半、これでは違いすぎます・・・」
神は呟いた。
「公平ではなかろうが、全く同じものを与える訳にもいくまい・・・よし、それでは女に慎む力と、厚かましい力を半滴ずつ入れてやろう」
聖なる蜂が仕事を済ませると言った。
「神よ。どのような力をお与えになっても、人間が神でない以上、その力を、神の思し召し通りに使う保証はないと思いますがね」
神も、同じ思いだった。
「人間がどのように、その性(サガ)を育てようと、それは、人間の器量次第ということだろうな。しかたあるまい」
そう言って、男と女を、地上にお下しになったのです。
ーーーーーーーおわりーーーーーー
ようやく、男と女の形は完成した。
神は神聖な蜂を呼んだ。
「さて・・・」と神は、まだ考え込んでいる。
蜂は、神の考えがまとまるまで、ジッと根気よく待った。
やがて、神は言った。
「ここに、人間の男と女がほぼ出来た。さて、それぞれの心に、何を足してやったらよいかを考えていたのだよ。
私は、男には、敵と闘う荒々しい力と、弱いものをいたわる優しい心を授けようと思う。
そして、女には、敵から我が子を守り抜くたくましい力と、我が子をひたすら慈しむ力を加えてやることにしよう」
蜂は言った。
「それでは公平ではないと、不平を言うモノが出ましょうね」
神も頷いた。
「仕方あるまい」
蜂は飛び上がり、神秘の花園から、まず“あらあらしい力”のエキスを採って帰ってきた。
神は迷わず言う。
「そのエキスは男の方に」
蜂は、男の唇に一滴を注いだ。
「さ、こんどは“子供を守る力”を、女の唇にたのむ」
蜂は、忠実にそれを実行すると、聞いた。
「今度は“優しい力”を男にですね。女にではなく」
「そうだ。男の唇に“優しさ”だよ」
蜂は、それを忠実に実行しようとした。
「ちょっと待ってくれ、あ、結構、やはり、それは男にだ」
神は、少しだけ迷われたのだ。
蜂は、最後のエキスを採りに花園に出掛けた。
神は、珍しく深く、お迷いになっているらしい。
蜂は、最後の“慈しむ力”を持って帰ってきた。
そのとき神は、決断した。
「蜂よ。そのエキスは、半分づつ男と女に与えてくれ」
蜂は、“慈しむ力”を、半分男に、半分女に与えると言った。
「男の方が二滴と半、女の方が一滴と半、これでは違いすぎます・・・」
神は呟いた。
「公平ではなかろうが、全く同じものを与える訳にもいくまい・・・よし、それでは女に慎む力と、厚かましい力を半滴ずつ入れてやろう」
聖なる蜂が仕事を済ませると言った。
「神よ。どのような力をお与えになっても、人間が神でない以上、その力を、神の思し召し通りに使う保証はないと思いますがね」
神も、同じ思いだった。
「人間がどのように、その性(サガ)を育てようと、それは、人間の器量次第ということだろうな。しかたあるまい」
そう言って、男と女を、地上にお下しになったのです。
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