十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

更生させる人も、する人も

2020-05-09 05:00:00 | 投稿

 人間は、どんなにやさしい善人のような顔をしていても、心の奥底には、暗黒の自己を背負っているかを、真摯に追及することが大事です。
 バチカンの聖パウロ師の述懐に「吾れの欲する善はなさず、吾れの欲せざる悪はこれを為す」と言っておられます。
 仏陀は、「他人の邪(よこしま)を見るなかれ。彼が何をなし、何をなさざるかをいうなかれ。吾が何をなし、何をなさざるかを思うべし」と説いておられます。
川柳に「竹ならば割って見せたい私の心
               中は色気と欲ばかり」
という笑うに笑えない、自己をさらけ出した句がありました。
 万引きする心。窃盗する心。警察がいなければスピード違反をする心。電車やバスの中で美人がいると、つい痴漢をしてみたいという心の動き。人間の心の奥深くをあからさまに表現すれば、罪を犯すこころは、誰の心にも充分あります。そこを辛抱したかしないかが、大問題です。
罪を犯してしまった者だけを悪人としているが、指導者である先生も、宗教家も、身体で罪を犯していないだけで、心の中では、罪を犯しています。仏教ではこれを思意業(しいごう)といいます。罪を犯した者だけを問題にするのではなく、犯罪を収り締まる者も、心の中は同じように汚れていることを自覚して、更生保護に当たることが大切です。
 私は、今年八十歳になりますが、自分の過去を振り返れば、運よく捕まらなかっただけで、スピード違反はしたし、他人の傘を無断で使用したこともあります。犯罪者とそうでない人とは、紙一重の差といえます。心の中では憎たらしいと思ったり、他人を恨んだりして、その人がいなくなればと思うことはしばしばありました。
 以前、小学生の少女がレイプされ、殺害された上に河川敷に捨てられたという残虐な事件がありました。容疑者を捕らえてみたら、その学校の保護者会の元会長であったというニュースに、世間は大いに驚いたことがありました。
肩書が、警察官であったり、学校の先生であっても、人間の心の奥深くには、色々なものがうごめいています。日々の生活の中で、そういったものが、目に見えたり、耳に聞こえてくると、たちまち心が反応する。それを仏教では、緑といいますが、どの縁を選んで行動するかは、自分で決めているのです。
良いも悪いも自己責任です。自分の人生は全て、自己のこころが決めるのです。
格言にある、「右は極楽、左は地獄、こころ一つが道標べ」です。その時、自分の心が、どちらを縁にするかを、誰もが自分自身で選んで、毎日毎日を生きているのです。
 人は、つい安易な方を選んだり、努力もしないで簡単に儲かる方を選ぶものです。これから日本はIR(統合型リゾート)を中心とした街造りを誘致するといわれていますが、よほど考え、自分にとって良いか悪いかを判断することが大切です。

(山田法胤(ほういん)・薬師寺長老/喜光寺住職)

更生保護 令和2年4月号(ずいそう)

 

社会のルールから逸脱してしまった人
 
誰にも知られずに、ひっそりと生きざるを得ない人
 
弱さのあまり何のアクションも起こせない人
 
病むもの老いたもの、誰にも知られずにいる人
頑張れない人
 
弱い者も居場所を得て、笑ったりほっとひと息ついたりしながら
過ごせる、優しい社会となるよう。
 
自分よりさらに傷ついている人たちに
それほど役に立たない慰めの声をかけたり、
 
逆にやさしくしてしてもらったりしながら、
日々送っていくことになると思う。
 
 
安全.安心な地域をつくるためには、罪を償い再出発しょうとしている人たちを地域で支える「更生保護」が必要です。
彼ら、彼女らが、支援をうけられずに再犯や再非行を重ねることがないよう、様々な立場から見守り、更生を支援する更生保護ボランティアの活動にご理解のほどをお願いします。

                 

「十勝の活性化を考える会」会員C

写真:「十勝の活性化を考える会」会員 S

 

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