先日、“楳図かずお”の連作絵画についてNHKで放映していた。彼は27年ぶりで101枚に及ぶ漫画風の連作絵画の個展を開いたらしい。以下は、NHK記者のインタビューの内容である。
「漂流教室」や「わたしは真悟」など、ホラーやSFを中心に数多くの名作を生み出してきた、漫画家の楳図かずおさん。1995年以降、漫画の創作からは遠ざかっていたが、ことし1月27年ぶりとなる新作を発表。それも漫画ではなく、101点の連作絵画という初めての試みだった。85歳にして新しい表現の形に挑んだ楳図さんに、その思いを聞いた。
「ホラーまんがの神様」 休筆の理由は・・・
「へび少女」や「おろち」などのヒット作を手がけ、ホラー漫画の第一人者として活躍を続けてきた、楳図かずおさん。
手がけるテーマは、ホラーにとどまらず、「まことちゃん」に代表されるギャグ漫画、そして「漂流教室」や「14歳」といったSFなど、ストーリーテラーとしての類いまれな才能で数々のヒット作を生み出した。しかし1995年以降は新作の発表はなく、漫画の創作からは長らく遠ざかっていた。
それから四半世紀、楳図さんが27年ぶりに新作を発表するというニュースが去年の秋に報じられ、漫画界のみならず注目が集まった。
(楳図かずおさん)
新作の発表を前に、楳図さんがインタビュー取材に応じてくれた。「こんにちはー、よろしくお願いしまーす。ぐわし!!」
赤と白のおなじみの服装を身にまとった楳図さんは、声や姿も以前とほとんど変わらず、85歳とは思えないほど、エネルギーに満ちあふれていた。
まず尋ねたのは、27年もの間、創作から離れていた理由について。当時は手のけんしょう炎が原因だとされていたが、実はそれだけではなかったことを明かしてくれた。
「ずっと漫画書いていても評価も何もなく、褒められることって全然なくて、『もう怖い漫画はないと思う』とか言われたこともありました。それだったら残っていても悪いし、面白くも何もないので、それでやめちゃったんです。ちょうどそのころ60歳ぐらいで、本当は70歳ぐらいまで書こうかなと思ったんですが、それでも残念とかそういう気持ちはなくて、単純に切り替えだけで、『さあ、あとは今までやってなかったようなことをしよう』と考えを変えました」
世界で高まる評価が後押しに
作品に対する評価に納得できず、漫画の創作から離れた楳図さんは、その後、テレビのバラエティー番組に出演したり、映画監督を務めたりするなど、新しいジャンルに活動の幅を広げていった。
私生活でも、英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の勉強を始めるなど、これまでできなかったことに積極的に打ち込んでいったという。
そんな中、楳図さんの気持ちを揺り動かす出来事があった。2018年、「漫画界のカンヌ」とも呼ばれる「アングレーム国際漫画祭」で、楳図さんの代表作「わたしは真悟」が、「永久に残すべき作品」として「遺産賞」を受賞したのだ。
日本人では水木しげるさんらに次ぐ、3人目の快挙だった。
思いがけない世界からの評価は、再び創作の場へと向かわせる原動力となったと振り返る。
「それまで(国際的な)賞なんて考えたこともなくて、どこからも、何ももらったことなかったので、だから嬉しかったですね。それで『あ、描くわ』となったんです。だから新作は日本で見ていただくだけじゃなく外国の人に見ていただきたいっていうのが大きいですね。(アングレームのある)フランスだったら、ルーブル美術館に飾ってもらって見てもらいたい」
漫画の価値を高めるための「連作絵画」
創作の意欲を取り戻した楳図さんが4年がかりで完成させたのは、紙の漫画ではなく、101点の連作絵画だった。縦40センチ・横30センチほどの紙に、絵を鉛筆で素描し、その上にアクリル絵具で着色して描かれた作品。
1点で独立した絵画として鑑賞できるだけでなく、作品を順番に観ていくことで、漫画のコマを読み進めるようにストーリーを楽しむこともできる。まさに漫画と絵画の長所を兼ね備えた、新しい表現の形だ。
1点で独立した絵画として鑑賞できるだけでなく、作品を順番に観ていくことで、漫画のコマを読み進めるようにストーリーを楽しむこともできる。まさに漫画と絵画の長所を兼ね備えた、新しい表現の形だ。
「漫画っていうのはコマが多くて、ある意味『つなぎの芸術』なんですね。でもつなぎだけで終わっちゃって、しょうもない漫画もいっぱいある。ここで何が抜けてるかっていったら、クライマックスなんですね。一方で絵画はクライマックスしかない。だから僕が今回描いたのはつなぎがない、やにわにクライマックスが来ちゃう、連作絵画なんです。
漫画っていうすばらしいメディアをもっと格調高く持っていかないとイヤだなっていう思いがあったので、漫画の良さもあるし絵画の良さもある、どちらの面から見ても『これはすごい』って言ってもらえるものを作らなきゃと思って描きました」
「壊れてしまう前に戻ろうよ」
今回の連作絵画で描いた物語は、世界でも評価された代表作、「わたしは真悟」の続編だ。
「わたしは真悟」では、自我が芽生えた産業用ロボットがネットワークを通じて進化していく姿を描くことで、デジタル化していく社会に警鐘を鳴らし、人間とは何かを問いかけた。新作は、人類が滅び、ロボットだけになってしまった未来が舞台。
現代の人間が、競争ばかりに目を向けて「進化」を続けていることに危機感を感じているという楳図さん。いま、人間はあえて退化する必要性があるのではないかといいます。
「今の世の中見ていて、競争競争で、あっちより先にこっちだという競争みたいなのが主流になっている気がして、そこ怖いですよね。それだったら、退化をしましょう、進化してどんどんいっちゃってあふれてしまって壊れてしまう前に元に戻りましょうよ、もうちょっと忘れてしまってもいいから戻ろうよ、と言いたいんですね」
作品を読み進めることで、「わたしは真悟」との関係性が明らかになるという仕掛けも施されている今作。楳図さんは、「わたしは真悟」で描いた世界観は、決して過去のものではないという。
「今に通じるリアリティーはあるので、過去にやっていたからおしまい、とはとられたくない。未来から見て、過去っていったら厳然たる原因を作っているもので、それが未来に影響を及ぼしてるっていう揺るがせない存在としてそこにある。そういう意味でも、今回の作品を作った意義というか、大きな価値があると思っています。新しいパターンで面白いと思ってもらえるぐらいに、スリルサスペンスに満ちた、見始めたら終いまで見ないと気が済まない状況に絶対になると思う。これは僕、物書きの感覚からいって間違いないんです」
「圧倒的」「ここまで天才だったのか」
1月27日、関係者向けの内覧会で、101点の作品が初めて披露された。作品を鑑賞し終えた出席者の様子を見ると、興奮した面持ちを浮かべる人あり、作品に圧倒されてぼう然としている人あり、さらに目に涙を浮かべる人までいた。
「漫画のエッセンスもありながら、これまでの作品を彷彿とさせるテーマで、それが全部カラーで見られるのは大感動。見る角度によって違った輝きが楽しめます。世界中の全人類早く見て!という感じです」
「さらに大波が来る」
漫画家として、そしてアーティストとして、85歳にして新境地を切り開いた楳図さん。現在の肩書きは何か聞いたところ、「『大芸術家』がいいですね。『大』をつけるとちょっと嘘っぽくなるからそこがいいな」と笑って答えてくれた。
「大芸術家」として、今後、どんな創作が見られるのだろうか。
「すごい強烈なアイデアは一つあるけど、思っているだけで具体性は全然なくて、それは描くか描かないか分からない。ただ僕は間違いなくこのあと、今回だって大波だと思うけど、もう一個さらに大波が来る予感があるんです。たわいのない言い方で申し訳ないけど、僕前々からすごく運がいいんです。今回もめちゃくちゃいい運いただいているんですけど、まだ大きいのが僕の運の中で来る気がするんです。だから今後のことは何するというよりかは今後の成り行きをぜひ楽しみたいって、そこにつきますね。今後の抱負は何をするということはないけど、『負けないぞー!』という感じ。それしかないですね」
漫画や芸術について語る楳図さんは、85歳という年齢を感じさせず、まるで少年のように生き生きと目を輝かせ、これからの未来に向けた期待に満ちあふれていた。そんな楳図さんの姿、そして、これからも生み出される作品たちは、コロナ禍で閉塞感に包まれたこの世界を、私たちを、きっと勇気づけてくれるに違いない。
この展覧会「楳図かずお大美術展」は、3月25日まで東京シティビューで開かれています。(事前予約制)
(出典:NHKのHPより抜粋)
「十勝の活性化を考える会」会員
十勝開拓の父“依田勉三”は北海道十勝の開拓者。静岡県松崎町の豪農で三男して生まれた。彼は1853年生まれで、北海道開墾を目的として結成された「晩成社」の13戸27名を率いて、30歳の時に入植している。
晩成社の入植は、5年間にわたる空を真っ黒にするほどのイナゴの異常発生などにより困難を極め、晩成社の経営は上手く行かなかった。当時の帯広は、アイヌが10戸と和人が1戸あるのみであったという。
なお、全国的に有名になっている製菓メーカー㈱六花亭から発売されている。「マルセイバターサンド」や「ひとつ鍋」は、晩成社のエピソードをもとに作られている。なお、勉三は、“開墾のはじめは豚とひとつ鍋”の俳句を詠んだと言われる。
同じ晩成社3人の幹部であった渡辺勝は、幹部の鈴木重太郎の妹である鈴木カネと結婚している。当時カネは23歳のクリスチャン。横浜の女学校(現在の横浜共立学園)に学んだ才女で、「晩成社」の一員として十勝の開墾に従事している。
私塾も開いて入植者の子どもたちに読み書きを教え、帯広の教育の基礎を築いている。晩成社としての開拓は成功したとはいえないが、カネが子どもたちに施した教育は、十勝の住民に受け継がれ、「十勝開拓の母」とも呼ばれている。
先住民族であるアイヌたちとの親交を深めたことでも知られ、英語も流ちょうに話すことができ、訪れた外国人にビックリされたそうだ。昔の自分を捨てられない者もいる中でカネは、妻として母としてアイヌ民族の隣人として、自分の役割を果たしていく。
カネに印象的な言葉がある。「私たちの代が耐えて、この土地の捨て石になるつもりでやっていかなければ、この土地はそう簡単に私たちを受け入れてはくれない」と。覚悟とはこういうことで、最初の一鍬が今の帯広の礎になったことに間違いない。先の見えないコロナ禍の中、どこか「晩成社」の開拓者精神を思い出さざるを得ない。なお、作家 乃南アサの著「チーム・オベリベリ」は、渡辺カネの視点で書かれた小説である。
十勝には、“十勝モンロー主義”という言葉がある。この言葉は、“地産地消”と言いかえても良いだろう。自分たちの地は、自分たちで守っていこうというメッセージである。地元の有名なパン屋さんでは、十勝産小麦(キタノカオリなど)にこだわり輸入小麦を使っていないという。
地産地消とはこのようなことをいうのだろう。ソーシャルディスで人とのつながりを失いつつある中で、日本を再興させるために大切なことと思っている。
話は変わるが、依田勉三の血を引いている北海道が生んだ天才プロ棋士に“依田紀基九段”がいる。彼は、美唄市生まれの岩見沢市育ち。名人4期、碁聖6期、十段2期など合計35のタイトルを獲得し、近年の囲碁界では十指に入る実績を残している。
小学4年生の時に囲碁に出会い、1年後にプロを目指して上京。1980年、14歳でプロ棋士になっている。一方でギャンブルや酒が好きで、故・藤沢秀行先生に可愛がられていた“無頼派の天才”で、奇手や捨て石の名手でもある。晩成社の渡辺カネも捨て石になるつもりでやっていたそうだ。
プロ棋士にはもうひとり“さかな君”の父である宮沢吾郎プロ棋士もいる。十勝が生んだ天才の一人で、彼もタイトルを2回、NHK囲碁トーナメント戦で準決勝まで進出している。彼は小学生の時に全道チャンピンになり、当時の囲碁界の大御所である木谷実氏の「十勝で活きの良い鯛を釣ってきた」という言葉は、囲碁ファンには有名です。依田勉三と依田紀基九段、宮沢吾郎プロ棋士と“さかな君”、顔と性格がうりふたつで、血は争えないことをつくづく感じている。
「十勝の活性化を考える会」会員
注)原野を切り拓き、農業王国の礎を築いた立役者
(「晩成社」一同と依田勉三)
(出典:北海道観光振興機構のHPより)
北海道十勝の深掘り 子供のSOS
全国の読者の皆様に、「北海道十勝ってどんなところ?」の疑問に深掘りしてお伝えしてまいります。
子供のSOSの相談窓口
18歳以下のみなさんへ|あなたはひとりじゃない
18歳以下のみなさんへ、人には言えない悩みごとをかかえて苦しんでいませんか。もやもやをぬけ出すための相談窓口をチャットボットでご紹介します。...
あなたはひとりじゃない
あなたはひとりじゃない|内閣官房孤独・孤立対策担当室
いくつかの質問に答えて頂くことにより、あなたの状況に応じた支援制度や相談窓口をチャットボットでご紹介します。内閣官房孤独・孤立対策担当室が運...
あなたはひとりじゃない
悩みの相談窓口(帯広市)
悩みの相談窓口(帯広市)| 帯広市ホームページ 十勝
困っていること、悩んでいることなどお気軽にご相談ください。 ※相談窓口は、原則、土曜日・日曜日、祝日及び年末年始はお休みです。
帯広市ホームページ 十勝
教育相談電話(いじめ相談)十勝教育局 0155-23-4950
少年相談110番 帯広警察署 0120-677-110
チャイルドラインほっかいどう 0120-99-7777
健康相談 帯広市役所健康推進課 0155-25-9721
こころの相談 帯広保健所 0155-21-9110
#南極の氷
南極の氷が、地球温暖化で解けはじめているらしい。厄介なのは、南極の場合、一度氷が解けだすと上流に溜まっている氷も一気に流れ出すメカニズムを持っているそうである。氷が解けて将来的に海面が上昇すれば、東京都江東区のゼロメートル地帯を含めて、地球は大変な危機に陥ることになる。
海面上昇に関係することであるが、モリディブという国をご存じだろうか。そのほとんどは、海面からやっと顔をのぞかせている程度の低く平坦な島々だが、人々はここで2500年前から海とともに生き、文化とアイデンティティーを築いてきた。この国は今、海面上昇により海に消える世界最初の国になるかもしれないという。日本でもリゾート地として人気であるが、気候変動の脅威にさらされているのだ。
モルディブ政府によると、気候変動の影響で2100年ごろまでに1メートル余り海面が上昇すると予測され、国土の多くが水没する危機にあるという。地球温暖化はこれほど大変なことなのに、毎週日曜日の国会議員による日曜討論などを含めて、新型コロナ禍のことばかり中継している。
命が大切なことは分かるが、そのうちにコロナ禍は収束すると思うので、国会議員は地球温暖化のことについても議論してほしい。私が考えるに、問題が大きすぎて議論がまとまらない可能性があるが、それでもなお議論してほしいのである。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(18)は2年前、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいないように見える大人たちを叱責したのは記憶にあたらしい。
東大教授 石井菜穂子氏によれば、「地球温暖化は人類の加速度的な経済発展が、食料生産のための森林伐採やインフラ開発などを通じて、これまで保たれてきた生態系を破壊しはじめたことに起因している」といっている。
だから、地球の生態系とぶつかり合う経済システムを、いかに変革するかだという。今後、10年程度の短期間に、この経済システムを変革することが気象危機、すなわち人類の危機を回避するために急務だという。
既述の学者の意見を考慮すれば、経済発展が必要かどうかに疑問符が付くのである。経済の回復が無ければ、貧富の拡大や倒産企業の増加につながるが、人類にとって豊かさとは何かを再考する時期にきていることは確かである。コロナ禍に際して、人間の価値観を変える必要があると思っている。
「十勝の活性化を考える会」会員
南極海に出現した板状の氷山。米航空宇宙局(NASA)が公開(2018年10月16日撮影、同23日入手)。―出典:yahoo検索よりー