令和元年8月18日付け北海道新聞の「卓上四季」に、以下の記事が載っていた。
『人類はひとつ、とても効果的な武器がある。それは笑顔だ」。「トム・ソーヤーの冒険」で知られる米国の作家マーク・トウェインの言葉だ。笑顔は周りを明るくしたり、前向きにしたり、安心させたりする。だからこそ、笑顔の人は魅力的なのだろう。
今月初めに女子ゴルフのメジャー大会の一つ、全英女子オープンを制した柴野日向子選手は満面の笑顔を振りまきながらプレーした。その効果は絶大だった。観客に日本人もいたが、地元のファンをも魅了し、ゴルフ場が一体感に包まれていったという。プロになってわずか1年の20歳。初の海外戦であった。にもかかわらず頂点に立てたのは、屈託のない表情が声援を引き出し、いつもと変わらぬ雰囲気を作り出せたからだろう。
「スマイリングシンデレラ」と名付けられたゆえんだ。「笑顔でいて良かったのを実感したのは今回の全英。応援の力で自分の中にも(気持ちを)盛り上げていけた」。
帰国直後に参戦した道内開催の国内線を前にこう振り返った。笑顔は周囲だけでなく、つくる本人にも大きな効果をもたらす。脳を刺激し、快感物質であるドーパミンも増やすようだ。
「幸福な人は、幸福だから笑っているわけではない。笑っているから幸福になれるのだ」(フランスの哲学者アラン) 普段から笑顔に心掛けてはどうか。何事にも前向きになれるなら、楽しいに違いない。』
町内会に友人がいて、馬が合うのでいつも酒を飲み交わす。そして、腹を抱えながらよく笑う。だから二人は幸福なのかもしれない。
「十勝の活性化を考える会」会員
注)笑い
笑いは楽しさなどの感情表現である。
笑いとは、楽しさ、嬉しさ、おかしさなどを表現する感情表出行動の一つ。
笑いは一般的に快感という感情とともに生じ、感情体験と深くかかわっている。また、笑いは感情表現の中でも極めて特殊なものであり、すぐれて人間的なものである。一般的に動物の中で笑うのは人間だけである。怒り、悲しみなどの表現は動物にもあるが、笑いがすぐれて人間的である理由として、笑いには「笑うもの」と「笑われるもの」という分離があり、何かを対象化するという心の働きが必要となる。
[概要]
嬉しさを笑いで表現する少女。子供の無邪気な笑いは「対象化」とは無縁に見える。人は笑うとき、ごく一般的には陽性の感情(快感)に伴って表情が特有の緊張をし(笑顔)、同時に特有の発声(笑い声)を伴う。通常は自分以外の対象があって、それから受ける印象に基づいてそれが好意的であれば表情に笑いが生じ、特に刺激的な場合には発声が伴う。さらに程度がひどくなると全身に引きつけるような筋肉の収縮が伴い、涙が出ることがある。人間はこのような表現を意識的に使い分けることができ、これにより微細な感情を表現する。たとえば、表情を変えずに笑い声だけをあげた場合、冷やかしや威嚇などの表現となり得る。否定的な意味合いを持つ笑いも存在する。また、自己を笑いの対象とする笑いには自嘲のように複雑な感情を伴うものもあり、自虐などとは区別される。
[対象化]
笑いが快感にだけ伴って起こるわけではないが、感情体験と深くかかわっていることは明白である。人間の心の働きを理性と感情という二分法に従えば、しばしば理性に価値が置かれ、感情は下に見られがちである。理性は人間特有のものであり、感情は動物的であるとされるためだが、このような考えに立つ人は感情を表出することははしたないと考え、それをできるだけ排除すべきと主張する。笑いがすぐれて人間的である理由として、笑いには「笑う者」と「笑われる者」という分離があり、その意味において何かを「対象化」する心の働きが存在する事実があると、河合隼雄は指摘している。
この「対象化」は人間だけがなしうることで、自と他を明確に分離し、自が他を「対象」として見る。その際に、自分が対象に対し突然の優越を感じる際に笑いが生じると、トマス・ホッブスやマルセル・パニョルなどは主張した。河合は優越感と言ってしまうのには限定が強過ぎるが、笑うためには笑う主体がある程度の安定感を持つことが必要であるとし、不安定な時には恐怖や不安が先行するため「笑っている場合じゃない」という状況になると説明し、さらに優越とまではいかなくても、対象の中に見出した「ズレ」の感覚を楽しむとでも表現する方が広く笑いを説明しているのではないかとする。
この「対象化」には自分自身も含まれる点に特徴があり、自分自身の馬鹿げた考えを苦笑したりする際にも適用される。この対象化が必要とされる点において、それは感情に関わるものでありながら、人間のみに特徴的に出てくるものである。怒りの感情は、全体的状況に自分自身が入り込んでいるため、対象化は生じない。笑いは自然に生じるもので、考えや意志で引き起こしたりすることはできない。
しかし、自然に生じるといってもある程度、心に余裕がないと出てこない。緊張の高い時のほか、何かに夢中になっているときにも笑いは生じない。真面目に物事に取り組み、緊張が高まっている状況下では、人間の自我がその状況の中に入り込み一体化することで、対象化が起こらない。あるいは、緊張感が高い状況下で、上手に人を笑わせる人がいると、笑いによって緊張がほどけ余裕が出、自分自身を対象化することができることもある。しかし、この場合に笑わせることができる人は、そのような状況からやや距離を置いて、安定してみていることができる人に限られる。
上記からわかるように、適切な「距離」を置くことは、笑いの必須条件であり、このような心理的距離をもてるのは、人間のみにできうることである。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』抜粋)
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