人間の成り立ちを紐といてみよう。人間の祖先である人(ホモ・サピエンス)は、5~10万年前にアフリカを出て、4~5万年前に東アジアに進出したと見られている。
そして、日本の歴史を振り返ると、最後の氷河期は約7万年前に始まり1万年前に終了したといわれる。その後、新石器時代(縄文時代)と共に土器・定住を特徴とする狩猟採集生活である縄文文化の時代が約1万年続いた。この縄文文化を持った“縄文人 ”が、日本列島の各地に住むようになった。
そして、渡来系弥生人との混血を繰り返しながら“人間の遺伝子”が受け継がれ、私たちが存在するのである。現代の日本列島3集団(アイヌ、琉球人、本土日本人)との関係を見ると、アイヌ、琉球人、本土日本人の順で縄文人の遺伝子が強いことが、最近のゲノム解析で分かってきた。
その後、水田稲作文化を持った人々が大陸から北九州等に渡来し、3世紀ごろまでには「弥生文化」と呼ばれる新しい文化を、西日本各地に拡げていった。弥生文化は、東日本までは十分に浸透せず、東日本や西日本の一部では、弥生時代の末期になっても縄文文化が色濃く残ったといわれている。
やがて、大和に初期大和政権が誕生すると、大和政権は、弥生文化を拒否する人々を “隼人”とか”蝦夷(エミシ)”と呼んで差別すると共に、それら地域に対して財政面の強化の必要等の理由から兵を派遣して弥生文化の浸透を図った。その過程で隼人や一部のエミシは新しい文化を受入れ、大和政権の傘下に入り同化していった。ただ、従来の狩猟採集文化を大切にした一部のエミシは北へ北へと逃れ、最終的に明治時代には蝦夷地である北海道に住むだけとなり、そうした人々が「アイヌ」とよばれたのである。
日本列島はユーラシア大陸の東端に位置するため、様々な人々が長い時間をかけてたどり着き、この地で混血して多様な日本人が形成された。日本人は遺伝子的に大まかに言えば、先住系の縄文人と渡来系の弥生人の混血で形成されたが、両者の混血度合には地域により差があり、日本列島の南と北の地方に縄文系の遺伝子がより色濃く残っている。琉球人が、アイヌに似ていると言われるのは、そのためである。
「アイヌ」とは、もともと「カムイ=神」に対する「人間」を意味する言葉であったが、17世紀から18世紀に異なる文化を持つ人々(大和民族・和人)との交易が盛んとなるに伴い、独自の文化を持つ自分たちの呼称として「アイヌ」という言葉を意識的に使用したと言われている。
私はアイヌ民族に興味があるので、菅原進著 “アイヌ語から分かる日本史物語”や篠田謙一著 “日本人になった祖先たち”など、アイヌに関する本をたくさん読んできた。それで分かったのだが、縄文人(≒アイヌ)が日本人の始まりであるということである。アイヌと呼ばれる前は“エミシ”と呼ばれて、西暦801年、坂上田村麻呂が征夷大将軍に任命され、東北地方にいた“エミシ(蝦夷)征討”を行なっている。
一般に“アイヌ語文化圏”は、北海道のほか東北六県と新潟県までであり、アイヌが広い範囲に生活していたことが分かる。父親の祖父母は岐阜県人であるが、母方の両親は北東北出身なので、私には作家の司馬遼太郎氏と同様にアイヌの血が流れている可能性が高い。
ところで北海道は、明治時代に入ってから入植が本格的に始まった。そのために北海道の歴史は浅く、且つ、他県に比べて家へのこだわりが低く、道産子の多くは自分のルーツを調べない。しかし若い頃、仕事の関係で岐阜県と青森県に住んでいたことがあり、自分のルーツを調べることが出来た。
結論的には、昔は結婚すると苗字は夫か妻に統一するルールになっていたので、ルーツはどうしても統一された半分の姓だけを調べることになり、あまり意味がない。また戸籍も、明治以降しか作られていないので、自分のルーツは分からないのが実情である。
ところで、遺伝子は当然のことであるが遺伝する。子供は両親の遺伝子を持って生まれるが、その遺伝子が顕在化する場合と顕在化しない場合がある。競走馬で血統を重視するのは遺伝子が理由で、いつか走ると思って穴馬券を買ったが、いつも入賞出来なかった。いつか種牡馬で才能を開花させる血統馬が現れるかも知れないので、夢を忘れてはいけないと思っている。
「十勝の活性化を考える会」会員T
注) エミシ
古代の蝦夷(えみし)は本州東部とそれ以北に居住し、政治的・文化的に大和朝廷やその支配下に入った地域への帰属や同化を拒否していた集団を指した。統一した政治勢力をなさず、積極的に朝廷に接近する集団もあれば、敵対した集団もあったと考えられている。
しかし、次第に影響力を増大させていく大和朝廷により、征服・吸収されていった。蝦夷と呼ばれた集団の一部は中世の蝦夷(えぞ)、すなわちアイヌにつながり、一部は和人につながったと考えられている。概ね関東地方から東北地方、北海道にかけて、広く日本列島の東方に住んでいたと考えられている。
(出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)
アフリカで誕生した人間、そして移動して住む環境によって、言語・風習が形作られていっただけのこと。元をたどれば地球人で同じ人。白人、黒人と差別する方がおかしいですね。 K.M