十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

歴史と現代

2022-02-11 05:00:00 | 投稿

歴史と現代

 

先日、イベント会場の十勝プラザで、市民大学講座“フランス文学”を聞いてきた。講師は、大阪大学フランス語学科卒の翻訳家 高橋啓氏であった。同氏は本の翻訳のために時々、パリに行くらしいので、凱旋門や歌劇で有名なオペラ座、シャンゼ通りの話もしていた。

テレビで放映されていた、コロナ禍でロックダウンされたパリの話である。ソーシャルワーカーである医師や看護士に対して、セーヌ川のほとりのマンションバルコニーから、新型コロナウイルスの急拡大を阻止すべく働いている医療従事者を称える拍手・喝采が、一斉に鳴り響いていたという。

このようなことが東京のマンションで起きるだろうか。1789年に起こったフランス革命の血が、パリ市民の体に流れているからであろうか。同氏はフランス文学に絡んで、日本の「失われた20年」とか「失われた30年」といわれるが、これは経済のグローバル化によってもたらされたものだという。

確かに、資本主義経済は利潤を求めて世界を駆け巡るから、各工場がアメリカや日本から、中国、ベトナム、インド、タイなどの後進国に移って、産業の空洞化が進行している。良いことかどうかは分からないが現代は、産業経済主義から金融経済主義に変わっているというのである。

世界で2千万部が売れてベストセラーになっている著書『サピエンス全史』を書いたハラリ氏は、人間はますます個人主義化し、 “戦争と競争の時代”に突入し、10年後の世界は予想できないと言っていた。

また、大阪市立大学准教授 斎藤幸平氏“人新生の「資本論」“の本には、新型コロナ禍によって一層明らかになった資本主義の限界についての問題点を明らかにして、利潤優先の市場経済に対して疑問符を突き付けている。彼が書いている人新世の特徴は、地球温暖化に伴う異常気象、絶滅危惧種の増大、化石燃料などが原因であり、地球環境が悪化している。

一方、101枚の連作絵画を描いた漫画家 楳図かずお氏は、漫画「わたしは真悟」で、自我が芽生えた産業用ロボットがネットワークを通じて進化していく姿を描くことで、デジタル化していく社会に警鐘を鳴らし、人間とは何かを問いかけた。

連作絵画では、人類が滅びロボットだけになってしまった未来が舞台で、現代の人間が競争ばかりに目を向けて「進化」を続けていることに危機感を感じている。『いま、人間はあえて退化する必要性があるのではないか』ともいっている。

日本の役割は、世界に先駆けての脱炭素社会の実現であろう。 地球温暖化で、地球の危機がそこまで来ているからである。日本では、2013年を基準として2030年までに温室効果ガスの半減を表明しているが、目標の達成は難しいだろう。

日本はいま、新型コロナや地球温暖化で右往左往している。少し高い代償になっているが、この経験を活かせばよいのである。歴史は、過去の出来事の記録ではない。未来へとつながるものである。歴史を学ぶことによって、今を知ることができる。歴史の勉強で大切なことは、自分なりの世界観や歴史観を持つことである。

今の矛盾の原因は過去の出来事に内包されているので、いま起こっている現象ばかりに目を奪われたら矛盾の解決は出来ない。地球温暖化で人類の歴史は終わるかも分からないので、人類は知恵を出すことが大切だと思っている。なお、講師は、フランシスフクシマ著「歴史の終わり」も紹介していた。  

「十勝の活性化を考える会」会員

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿