十勝の活性化を考える会

     
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淡路島から北海道への移住

2021-08-19 05:00:00 | 投稿

 

淡路島には35年前、神戸市須磨港から淡路島までフェリーを使い、それから車で徳島県の本州四国連絡橋のひとつである“大鳴門橋”、香川県の金毘羅宮”、“栗林公園”などを見て帰ってきた。1泊2日の四国旅行であった。

先日、ある博物館の人に電話したら、曾祖父が明治4年に淡路島から北海道にある日高地方の静内に移住してきたという。幕末の淡路島は、佐幕派と倒幕派に分かれて対立した。佐幕とは、動乱の幕末期によく使われた言葉で、「幕府を補佐する」という意味で、倒幕派と対比するために“佐幕派”とも呼ばれることがある。

討幕派の稲田家側は、同じ徳島藩の蜂須賀家側とは意見が合わず、独自に行動して稲田騒動に発展している(庚午事変ともいう)。その際のシコリが、稲田家側の500人あまりの人々が、静内町へ移住した理由のひとつになっているそうだ。

「尊王」は日本人共通の考え方であるが、攘夷にしろ倒幕にしろ天皇を中心に開港することが前提だったのである。尊王は天皇を尊敬する一方で、攘夷は外敵を撃退することなので、尊王攘夷とは、「天皇を敬い、外国人を日本から追い払う」という意味になる。

当初は攘夷思想に染まっていた人々も、ペリー来航などで外国との歴然とした力の差を知ると考えを変えていく。特に、有力な攘夷派だった薩摩藩と長州藩が、外国と戦ってあっさりと負け、肝心の幕府も外国の圧力に屈するばかりで頼りにならなくなる。そこで薩摩藩や長州藩は攘夷をやめ、幕府を倒して天皇中心の政治体制をつくる「尊王倒幕」に路線変更することになる。両藩が間もなく「薩長同盟」を結んだことで、倒幕の動きはますます加速することになったのである。

静内町は、新千歳空港から車で約1時間半、2006年の町村合併により“新ひだか町”となっている。池澤夏樹著“静かな大地”は、明治4年の「廃藩置県」により淡路島から、北海道日高にやってきた徳島藩の人々とアイヌ民族との出会いを描いた作品である。

北海道にゆかりの深い作家 池澤夏樹が、初めて本格的に北海道をテーマに描いた小説である。彼は1945年生まれで6歳まで帯広で過ごし、母方の曾祖父たちは明治の初めに淡路島から北海道に入植した開拓者だった。

明治の時代、和人とアイヌ民族とが共に生きる北海道で、どういう生き方が存在したのかという一点を、この本は描いている。「アイヌ・モ・シリ(人間の静かな大地)」と呼ばれた北海道が、多民族・多文化の大地であり、多様性をもった社会が存在していたこと、そして、それが次々と失われていく姿を我々に見せてくれる。本のあらすじは、次のとおりである。

『物語は、淡路島から日高管内静内町に入植した、稲田家家臣・宗形三郎と志郎の兄弟をめぐって進んでいく。彼らの生き様を、志郎の娘の由良が伝記にまとめるというエピソードを描いている。 松前藩時代のアイヌへの酷使によって人口が減り、アイヌコタンが消滅した例もあること。神謡や物語に見られるアイヌ民族の精神性、開拓使たちがアイヌの自然への知恵によって教えられ助けられてきたこと、そしてアイヌの娘との結婚を決意する三郎であったが、実はアイヌの一家が引き取って育てた和人の娘であることをあとで知ることになるのである。』
 作家池澤夏樹氏は、いま沖縄に住んでいる。 沖縄もまた日本とは異なる文化が、色濃く存在している土地である。新型コロナ禍で価値観が変わろうとしているが、新しい価値観が北と南から日本を変えることになると思うと、わくわくするほど嬉しくなる。

     「十勝の活性化を考える会」会員

 


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