十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

エンパワーメントとは・・・

2023-05-07 05:00:00 | 投稿

 

知人の障害者が書いた文章は、以下のとおりである。

『わが国も批准している障害者権利条約は、障害のある人だけに権利を与えたものでなく、障害のある人も障害のない人も、“すべての生活者”に権利を有しています。

現在私は、定期的に医療や福祉サービスを受けています。医療や福祉をはじめとして多くの社会組織には、「施す」側と「受ける」側の存在があります。そこには自ずと、上位にある側と下位にある側との関係があります。医療では、医師と患者。福祉では、支援者と障害当事者といった具合です。

それは意識の根底に、自分が他者に対して何ができるかという、いわば上位に立つ無意識の思い込みが忍び込んでいることもあります。障害のない人から見て多くの人は、障害があるから「できない」という思い込みは、気づかないうちに行動、言動に表れるもので、私は何回もそういう状況を経験しました。

最近、人が人を世話したり、支えたりすることは一体どのようなことか、そして人として、そこにどのような課題があるのかを考え始めました。このことは、立場が入れ替わったときにはじめて本当に気付くものです。

現在私は里山に移住し、自分が暮らし続けたい場所で豊かな人間関係に囲まれ、社会的役割や自己肯定感をもって生き生きと田舎暮らしをしています。自分を支えてくれる地域は、自分が支える地域でありたいとつくづく思います。

これは、「互酬」(お互いさま)に基づき、私のライフワークとして、誇りと尊厳をもって人間らしく自分らしく生きられる社会を創り出したいと考え、活動の支えになっています。

私は発病以来、多くの人々の支えでここまで来ることができました。とくに心が折れそうになったとき、ある人との出会いで勇気をもらい、そこから“こころのきっかけ”が生まれました。

今度は、中途障害を持ったから気づいたこと、障害があるからこそ果たせる役割があると考え行動しています。私にとってのエンパワーメントは、社会的障壁や不均等をもたらす社会的メカニズムの変革を考えています。』

この文章にも書かれているように、健常者の障害があるから「できない」という障害者に対する思い込みは、気づかないうちに行動や言動に表れるものである。この文章を書いた障害者は、人を世話したり支えたりすることに関して、「立場が入れ替わった時に、はじめて気づくものです。」と言っている。

当たり前であるが、人間は同じ境遇に置かれなければ、その人の本当の気持ちは分からない。また、同じ境遇に置かれたとしても全て分かるものではないが、相手を思いやることが必要であろう。

エンパワーメントとは、人びとに夢や希望を与え勇気づけ、人が本来持っているすばらしい生きる力を湧き出させることである。現代においては、社会や組織を作っているエンパワーメントが、まさに求められるものであるといえよう。

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一期一会

2023-05-06 05:00:00 | 投稿

 

一期一会とは、戦国時代から安土桃山時代にかけて、茶の世界で活躍した千利休の言葉であると言われている。本当の意味は、一生に一度だけの出会いや機会を大切にすることである。

初めての人との出会いだけでなく、同じ人でもその時の出会いは一度きりであると思って大事にするということである。日々の当たり前の出会いも一期一会だと思えば、より感謝できるだろう。

先日、50年来の友人夫婦が、柴犬を連れて自宅に花見に来た。子どもたちが同じ校区であったので家も近いところにある。私が11年前の脳出血で倒れた時、彼は半年間、毎日のように病院に見舞いに来てくれたので頭が上がらない。

その友人の奥さんが20年間もお茶をやっているが、この一期一会の言葉が千利休に由来することを知らなかった。当然、私も知らず、彼のみが知っていた知識人であるが毒舌家でもある。なお、彼の祖先はお坊さんであったらしい。

彼の趣味は絵画で、私の趣味はガーデニングである。この二つの趣味は、生き物とそうでない違いがあるが、対象物の配置関係は同じである。すなわち、バランスが大切である。

彼の描いた絵に、彼の愛犬と他人のゴールデンレトリバーの愛犬が仲良く遊ぶ絵があった。柴犬は主人に従順であるが猟犬で、他人にはあまりなつかない犬である。二匹の犬は犬種が違うが、相性があったのだろう。親同士の仲が良ければ、犬同士も仲が良いのである。だから、隣同士の人とは仲よくしよう。

ところで、バランスの話であるが、“着眼大局”という言葉に置き換えても良いだろう。着眼大局とは、物事全体を俯瞰して重要なものを見抜き注目することで、我々が生きていくにあたって大切だろう。我々はともすれば自分の考えに固執して、他人の意見を聞こうとしない。それが、ロシアのプーチン大統領のように国同士の戦争に発展する時もある。

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背骨コンディション講座

2023-05-05 05:00:00 | 投稿

 11年前、私は小脳出血で倒れた。そのため右半身にマヒが残り、体が自由に動かず、右利きであったが企図振戦のため左手でフォークなどを持ち、つたない字を書いている。

先日、機能回復型デイサービスの利用をやめて、“背骨コンディション講座”10回コース(1万円)を受けてみた。50歳代の後半とみられる講師(自称では40代)は、女性ボディビルダーだったらしい。

ボディビルダーは、体の調和・均整美、筋骨の強壮さ、筋肉の大きさなどを競い、舞台に立って審査員に向けて綺麗な構えを見せる。選手は、脱水とカーボ・ローディングを組み合わせ、競技出場前に不要な体脂肪を減らし、最大量の筋肉や鮮明なボディ輪郭などをつくる。

講師は、とてもエコな体なのである。すなわち、無駄な筋肉をつけていないのである。まだ3回の受講であるが、背骨コンディション講座により、右肩などがスムーズに動き始めている。

これは、私と同じ脳出血を罹患した人が、水中で動かないと思っていた足が動くのと同じで体はもとに戻る可能性がある。訓練しだいで肩が動き始めるのが分かったので、毎日、寝る前に肩を動かしている。 もっと早くからトレーニングを行なっていれば良かったが、気づいただけでも幸運である。

講師によれば、大リーグで活躍している選手も背骨コンディションを行なっているらしい。人間の体を考えてみれば、二足歩行になってから背骨が体を支える中心的な役割を担っている。

誰しも高齢者になると、膝や腰が弱くなってくるので、背骨コンディションのトレーニングが良いのではないだろうか。夢はもう一度と思って、毎日、背骨コンディションのトレーニングを行なっている。

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青年海外協力隊

2023-05-04 05:00:00 | 投稿

 

先日、十勝プラザで“青年海外協力隊の体験談を聞いてきた。講師の金清百広氏は、2015から2年間にわたって協力隊でケニアに行ってきたという。

ケニアの人口は、約5,400万人で、面積は日本の1.5倍であるから、戦争が行われているウクライナと同じ広さである。経済規模は1/15ぐらいで、観光が大きな産業になっているものの農業国である。

首都はナイロビで、人口は約440万人であるから北海道の9割である。野性動物の宝庫・動物天国として世界的に有名な「マサイマラ国立保護区」は、ケニア南西部に位置する。

生息する野性動物は実に様々で、シマウマ、水牛、ゾウ、キリン、といった草食動物が群れをなしており、一方でそれを捕食するライオンやチーター、ハイエナ、ジャッカルなどの肉食動物が集まるらしい。

講師の方が撮った写真にも多くの動物が写っていて、首都ナイロビにもキリンがやって来るらしい。東京都にキリンが住んでいると思えば良いらしく、雄大な自然に囲まれている国である。

講師の話で一番興味深かったのは、お金中心の価値観はケニアに通用しないことである。人間の幸せは、お金ではないのである。しかし、11歳~13歳の子供で読み書きできない子供が約3割もいるそうで、教育レベルを上げることも必要だろう。

また、大小約40の民族がいるらしく、日本人と違って陽気で踊りが好きらしい。ニワトリの肉を食べて踊っているケニアの女性たちを見ると、なぜかアイヌ女性主体の「帯広カムイトウウポポの会」の女性たちの踊りと同じように見えた。日本人の祖先であるホモ・サピエンスは、20万年前にアフリカを出て、万年前に日本列島にたどり着いたという。

なお、帯広畜産大学卒でJICAに勤め、パラグアイ、モンゴル、タイなどの海外生活が長かった人からのメールが届いたので、参考までに載せよう。

『 地球温暖化は、人類の驕りが原因です。利便性を極め、贅沢三昧の生活をもっと原始的にしなければならないと思います。最近のニュースを見るにつけ、日本の基礎インフラの脆弱さを痛感します。科学や技術が発展したが、地震や台風などの自然災害に弱い有様を見るたびに心配になります。

ウクライナ戦争の影響でエネルギーをはじめ食料の値上げで、今からの生活も心配です。これを機会にもっと質素な食生活を心掛けるべきと思います。中南米、東南アジア等で生活しましたが、贅沢は出来ませんが、人々は精神的にはタフで生活も豊だと感じました。』

なお、JICAとは、独立行政法人国際協力機構で、日本の政府開発援助を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行なっている。Japan International Cooperation Agencyの略称で、「ジャイカ帯広」の設置は、国会議員 鈴木宗男氏の貢献が大きいらしい。また、講師によれば、ケニアからジャイカ帯広に来ている人は現在2人で、スーパーエリートの人がほとんどであるらしい。

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人間の遺伝子

2023-05-03 05:00:00 | 投稿

 

人間の祖先であるホモ・サピエンスは、5~10万年前にアフリカを出て、4~5万年前に東アジアに進出したと言われている。原日本人である縄文人は、2万年前から約3千年前まで、現在の北海道から沖縄本島にかけて住み、縄文文化と呼ばれる文化形態を保持していた。そして、渡来系弥生人との混血を繰り返しながら“人間の遺伝子が受け継がれ、今の私たちが存在するのである。

現代の日本列島3集団(アイヌ、琉球人、本土日本人)との関係を見ると、アイヌ、琉球人、本土日本の順で縄文人の遺伝子が強いことが、最近の学者によるゲノム解析で分かってきた。

篠田謙一著日本人になった祖先たちなどのアイヌ関係の本を多数読んできた。それで分かったのだが、縄文人(アイヌ)が日本人の始まりであるということである。日本人の祖先は縄文人で、朝鮮半島から来た渡来系弥生人との混血を繰り返しながら、その末裔に本土日本人がいる。

アイヌと呼ばれる前はエミシと呼ばれていた。そして、私の母方の両親は北東北出身なので、当然、アイヌの血が流れていることになる。アイヌと言われ始めたのは18世紀前後で、古くは“エミシ”、その後にエビス、エゾ、アイノ、カイノ、エンチュウなどと呼ばれていた。

エミシとは荒ぶる人の意味で、大和朝廷から続く歴代の中央政権から見て、日本列島東国(現在の関東地方東北地方)や、現在の北海道樺太などに住んでいた人々の呼称である。本州では、弥生文化が定着したあとも従来の縄文文化を守りつづけ、弥生文化に同化しなかった人々、それがエミシ(アイヌ)だったのである。大和政権の支配地域が広がるにつれて、エミシの人々が住む範囲は変化していった。

近代以降、アイヌは北海道樺太千島列島カムチャツカ半島南部にまたがる地域の先住民族で、アイヌ語母語とするアイヌを指している学者も多い。アイヌ民族がいつから北海道に住み始めたことについては諸説があり定かではないが、13~14世紀頃に、現在伝わっている「アイヌ文化」が生まれたといわれている。 

明治時代になってからのアイヌ民族は、北海道に追いやられて、生活の糧である狩猟やサケ漁も制限された。加えて、日本語も強要され、やせた土地に強制移住させられるなど多くの抑圧、差別を受けた歴史があったことを忘れてはならない。持続可能な地球を作るために、「自然との共生」というエコロジカルな生活を営んでいたというアイヌ民族の精神文化を、今一度考えたいと思う。

さて、当然のことであるが遺伝子は遺伝する。例えば、子どもは両親の遺伝子を持って生まれるが、その遺伝子が顕在化する場合と顕在化しない場合がある。

ご本人のご了解を得て、次の写真を載せる。1枚目の写真は、あの有名な「晩成社」幹部の一人であった渡辺勝の奥さんであったカネさんの晩年の写真である。2枚目の写真は、最近に撮った知人の写真である。約100年前の写真の比較であるが、お二人が似ているのは、血縁関係があるらしい。

戦後、太平洋戦争が終わって中国残留孤児の捜索があった。まだ、DNA検査が行われておらず、叔父さんや叔母さんの顔と似ていることが決め手になったが、このお二人の写真も遺伝子のなせる技である。私は既述のようにアイヌの血を引いているが、多くの和人は縄文人が多いので、遺伝子によりエミシやアイヌの血が流れている祖先を持っていると思っている。

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