少年は久しぶりに会うと
少し体格も大きくなり
青年期に入ろうとしているのがわかる
色んな試験や体験を通して
様々な理不尽にもまれ
その理不尽を身につける。
理不尽だらけの世の中を渡るためには
理不尽を経験していくほかはない。
今日は晴れた満月の日
天体望遠鏡で月を見る。
月が動くとレンズの位置を調整しなくてはならないのだが
彼は言った
「カーカ(ある女性の愛称)はね、月がファインダーからかけてもレンズを動かさないんだよ。そのまんま欠けて行くのを見てる。こんな人は初めてだよ。そう想わない?」
そうね。彼女はそのまんま月が動いて行くのを楽しんでるのよね。
しばらくして私の所にいざりながらやってきて話した。
「僕の夢みたいなものなんだけど」
「なあに?」
「月はあれほど大きな天体なのに宇宙の中で浮かんでるって不思議だよね」
「そうね、ふしぎね。でもそれはカーカの感性じゃない?」
「話の続き。あのね、月や色んな惑星の存在するおるごーるを僕は見てみたい。作れる?曲は何がいい?」
「君は星の王子さまみたいな存在だね」
彼は笑いました。
サン・ディグジュべリを知ってるの?
笑って頷いた。
「星と月ね。惑星があるのよね」
「できれば作って。僕はそんなおるごーるが、見て聴いてみたい」
青年になってきた彼の目が
キラキラしていました