夢音(ゆのん)~風のおるごーる~ atelier JUNON

~想いをかたちにするために~
天然木を使った、オルゴール作家

物語は続きます

2024-01-30 15:58:26 | つれづれ
少女は少年に言いました

「世の中に理不尽は溢れていても

それに負けない自分を作りたいのよ」

少年は少しぼーっとしながら彼女に言いました。

「そんなに簡単じゃないんだろ」

「そうよね。何度泣くかしら?声を上げるかもしれない。投げやりになりそうになるかもしれない。怒りに任せて何かを投げつけたりするかもしれないわ。自分じゃないようになる日もきっとあるんでしょうね」

「そりゃそうだよ。何だかそれはただの理想みたいな気がするよ」

「そうよねえ。でもね、理想でも、それに向かって歩いて行きたいなと想うのよ。」

「そんなものなのかなあ」

日が照り始め

朝の冷たい空気は少し柔らかくなっていました。

霜で白かった草もすっかり柔らかな風合いになっていました。

春はもうすぐもうすぐ




「信じたり、真摯に向き合ったりって簡単なことなのかと思っていたの。でもね、案外難しい。心ってまるで生き物だわ。手に取って捕まえようとしてもスルスル手から落ちるのよ。自分の心なのにね。おかしいわ。」

少年は少女の例え話が面白くて少し笑いました。





コメント
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