HEY HEY MY MY

和・洋問わず音楽を聴いて、思ったこと、感じたことを時々、こそっと、書きます。

Gary Moore 『Dark days in paradise』

2006年08月02日 | ロック
 人生、明暗ありなのだと、この人の歩んでいる遍歴を思い返すとき、そう思わずにはいられない。ピーター・グリーンから譲ってもらったギブソンのLPを手放したのは数ヶ月前の話。アルバム制作のお金に困っていたとか、いなかったとか。
 表題のアルバムは、以前にもふれたいわくのアルバム。このアルバムが、彼のメジャーレーベル最後の作品となった。セールス的な問題。マネージメントから求められる音楽の方向性への反発。私生活。すべてがつまって、このアルバムタイトルとなったといえる。
 彼のファンの間では、このアルバムの評価はかなり悪い。「技」のあるギタリストだけに、それを求めるのも当然といえば当然。けれども、このアルバムでは、彼のつんざくようなギターは聞くことはできない。アルバート・キングに、「音の数を減らして、ディストーションを弱めて」とアドバイスされたせいか、非常にエモーショナルなギターで、(彼にしては)軽めのディストーションである。
 
 最初は、とまどった私も、聞き込むうちに、「ああ、そういえば、80年代初頭の彼のギターの音じゃないか」と音楽の輪郭が見えてくる。そして、80年代後半のハードロック界は最悪だったな、と実感する。速弾き、曲芸弾き、一小節に音符を何個入れられるとか、オクターブがどこまでのスケールだとか、カーレースさながらの競争、最悪の場合音楽性はそれに付随していた。

 彼は歌う
 「Where Did We Go Wrong?

 地道に80年代を駆け抜けた古参、ジェフ・ベック、カルロス・サンタナの活躍は、21世紀に入ってからも色あせずに続く。もちろん彼らなりのスタイルの変化をして、だ。ゲイリー・ムーアがどこに漂着するかはわからない。ただ、このアルバムの路線は、私は間違っていたとは思わない。
 ここ数枚の最近の彼のアルバムで、何度聞いても飽きがこないのは、そのせいだ。

 時々、ラジオでこの曲はオンエアーされる。DJもよく知らないゲイリー・ムーアという人の曲。夏の夕凪にはよく似合う曲。
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