或る電話

　或る方から電話が掛かって来ました
こんな経験は初めてだなぁ～と思うような電話で
こんなのを　「腹の探り合い」　と言うのでしょうか？

　相手の方が、いったいどんな趣旨で話されているのか掴み処が無い
其処で私も、どんな風にお返事すれば良いのか解らなくて返事に困る
沢山の事を話されているんだけど
私から聞き出したいことが何なのかがちっとも伝わって来ない

　この電話が掛かってきた切っ掛けは
「オーバーナイト製法」　という独特な遣り方でパン作りをされている方がいる
なかなか美味しいパンが出来るので、少し勉強してみたいと思った事に発する

　その講師の方の教室を取り仕切ってる方からの電話だったのだが
私は、入会できるか出来ないかを聴きたかっただけなのだ
なのにそのお返事はなさらずに

「私達は去年の５月から勉強会をしてますから、もう一年になるんです」
（あ～そうですか）

「あなたは先生の講習を初めて受けたんですよね」
（いやぁ～２回かなぁ～）

「講習会では手ごねですが、私達は器械で捏ねるんですよ」
（私も家では器械で捏ねますが～）

だから何なんですか？　と聴きたいのを必死に堪え
「あの～ご迷惑でしたら全然構いませんので」　と答える

「迷惑だなんてことは無いですが・・・・・・」
（う～～ん、やっぱり電話の趣旨が解らん）

　其処でこう言ってみた

もしパンの経験をお尋ねなら、５年くらいです
ただし、普通のストレート法で、オーバーナイト製法は２度だけです
捏ね器は〇〇を使っています
発酵器も持っております
講師資格も有りますが、他人は教えていません

　やっぱりそうでした
つまりは、一年は経験した自分たちの中に入っても付いて行けないですよ
捏ねるのも、手ではないのですよ
あなたは器械を持って無いでしょう

　私の方から辞退した体裁にしたくて
遠まわしに「無理なのでは？」　と言われていたようです

　もっとハッキリと、経験は有りますか？　とかストレートに訊いて下されば
腹の探り合いなどせず、話は進んだと思うんです
日本人、あるいは関西人特有の言い回しで
傷つけまいと思う余りに、掴み処の無い話になってしまうのかもしれませんね

　僅か２０分の電話に疲れ果ててしまいました




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