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特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

のんだくれ(後編) (公開コメント版)

2007-10-23 08:19:08 | Weblog
「ん゛ー、このニオイ、たまんないなぁ」
私は、慣れるに慣れない刺激的な香りに、進めかけた足を一時停止。
家の中はシーンの静まりかえり、人気のない薄暗さが私の緊張感を刺激してきた。

雑然とした室内は、この家が男性の一人所帯だったことを伝え、台所やリビングに転がる空缶・酒ボトルは故人の荒れた生活ぶりを示唆。
私は、散乱するゴミを横目に目当ての部屋へ向かった。

向かったのは二階の寝室、故人が倒れていたとされる部屋。
私の登場に驚いたのだろう、それまで静かに潜んでいたハエが一勢に飛行乱舞。
ハエの唸るような羽音は、私を脅すかのごとく耳に響鳴。
その不気味な重低音は、慣れた私でも鳥肌が立ちそうになるくらいだった。

それでも、私はハエが直接的に襲ってくるのもではないことを知っていたので、彼等には目もくれず窓に向かって直進。
そして、暗闇に明かりを入れるため、カーテンを一気にスライド。
と同時に、ザラザラザラザラ・・・と、無数の黒粒が床に落下。
窓辺には、外への脱出を望みながら息絶えたハエが無数に重なり合っており、その黒山がカーテンに連られて崩れたのだった。
それはまた、外の光に反射する緑色の黒体は、この部屋で起こった出来事を証言しているようでもあった。

「最期は苦しかったのかな・・・」
汚染は、ベッドと下の畳に半々に浸透。
その不自然な形状と畳に貼り着いた大量の頭髪が、故人の最期の苦しみを連想させた。




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