特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

Reset ~後編~(公開コメント版)

2011-04-12 08:42:38 | Weblog
「ひょっとして、ゴミが溜まってるってことないですかね」
「え!?」
「“個人の自由”なのかもしれませんけど・・・」
「・・・」
「うちは小さい子供がいますし、隣があまりに不衛生だと気持ちが悪くて・・・」
「・・・」
「あと、火事も心配ですし・・・」
「・・・」
「前に、この人(依頼者男性)の部屋から大量のゴミがでてきたことがあって、ビックリしたことがあったんです」
「え!?」
「だから、“もしかしてまた?”と思いまして・・・」
「・・・」
女性の言葉に、私はいちいち動揺。
女性は、どうも、中がゴミ部屋になっていることをほぼ見通しているようだった。

個人のプライバシーに関わることを自分が積極的にバラすわけにはいかない。
しかし、状況的にみて、ことが表沙汰になることは避けられそうになく・・・
私は、「これで“近所にバレないように”って言われてもなぁ・・・」と、“トホホ・・・”な気分で、後のことを思案した。

毅然と断って気分を悪くされると、何かと厄介。
住民を敵に回すと、作業がやりにくくなるだけだから。
しかし、女性の要望は私の権限では聞き入れられない。
私は、弱りきった顔をつくって同情を誘い、商業道徳を盾に女性の要望をかわした。
そして、半強制的に会話を終わらせると、「バイバ~イ」と子供に手を振って女性の姿が完全に見えなくなるまで見送った。


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