初夏の石鎚は、色んな選択肢がある。
墓場尾根の曙躑躅は花つきが良くないという情報をもらった。
ならば南予で爆発的に開花した石楠花に望みを託した。
久しぶりに堂ヶ森からの入山。
ここの石楠花尾根と二の森、そして石鎚稜線の三角点を歩く石楠花三昧。
南予の爆発的開花には及ばないが、まずまず当たり年と云える咲き具合。
やっぱり一番絵になるのは、冒頭の画像、三角点の石楠花だった。
西の冠岳下のお花畑にも立ち寄ってみた。
ここは踏み入れると崩れやすいガレ場なので、長い間、足を向けなかった。
同様にキレンゲショウマ自生地やクマガイソウ群生地にも。
撮影するために足を踏み入れることで、明らかにダメージを与えることが分かっている場所は、
撮影していても楽しくない。
いくら綺麗な写真が撮れても、罪悪感ばかりが残る。
久しぶりに訪れた印象は、全体に花期が遅いことを差し引いても、
以前と比べて花が少ない…もうお花畑と呼べないくらいに。
雪割り草、キバナノコマノツメと一緒に掲載した野鳥画像は、
近年、四国の山に一気に繁殖した、愛玩鳥だったソウシチョウ。
堂ヶ森登山口へ向かう幹線道路端に横たわっていた。
おそらく車に撥ねられたのだろう。
まだ撮影していない鳥だったので、道端の倒木に横たえ撮影後、
穴を掘って埋葬した。
すべての生命(衆生)は、等しく尊いと考えたい。
群がるブヨや蚊やゴキブリにも同じことが言えるか?
と自問すると、かなり怪しいが…
堂ヶ森避難小屋へと向かう黄昏の山道で、オカリナの高く澄んだ音が聴こえてきた。
見晴しのいい岩の上に人影があった。
今夜の山小屋の同宿者かと見当をつけた。
見渡す山々の眺望を独り占めするように素朴な調べを奏でる、その人に興味が湧いた。
今夜は退屈しないかも?
山小屋に到着して寛いでいると、その人が入ってきた。
「こんにちは」と挨拶する顔を見て驚いた。
女性なのだ。それもまだ若い。
意外な展開に、柄にもなく慌てた。
「爺さんだからね…大丈夫だから…」
と意味不明の言い訳を口走る。
彼女も独りで、のんびり過ごすつもりが当てが外れたようだ。
そういう私も、ここを訪れるのは、山のひとりの時間を楽しみたいから。
手探りでコミュニケーションの手段を模索。
妙にお互いを意識して長い気まずい夜を過ごすのだけは勘弁だ。
それも杞憂だったようだ。
山でひとりの時間を楽しむくらいの楽天性が彼女にはあった。
向き合って話を聞く内に、彼女の持つ精神の自由さに魅了されていった。
それは別の意味で長い眠れない夜になってしまった(笑)
彼女の話が面白いのだ。
雨女さんと呼ぼうか?
本人曰く、見事なほど彼女が山に入ると天候が崩れるらしい。
時刻が変わる真夜中に夜空を埋める満天星と頭上を横切る天の川を見せてあげた。
戸外の床机に寝転がり、ずっと星々の営みを飽きもせず眺めていた。
しばらくして戻って来ると「流れ星が何個も流れた」と嬉しそう。
海外バックパッカーの旅や雪山単独行の並外れた冒険譚を、ずっと聞いていた。
こういう自由な精神の持ち主は大好きだけど、
横並びで同じ行動や嗜好性を半ば強制される、この国では生き辛いだろうな?
個人的であることや自由であることは、この国では浮いてしまう存在だから。
でも彼女の楽天性が、それを救っているようだ。
私のように、思い悩んでいるとストレスに潰されてしまう。
雨女さんの楽天性は、大いに見習うべきだろう。
夜明け前に少し仮眠して、私は二の森の日の出撮影のために、
そっと山小屋を出た。
無数に瞬いていた綺羅星は、もうすっかり空に融け、白みかけようとする山道を歩き続けた。
石鎚方面まで行って正午前に帰って来ると、
小屋内は、すっかり片付けられ、雨女さんの姿はなかった。
ひょっとして山の怪かしと一夜を過ごしたかな?
堂ヶ森山域でも凄かったです。
山岳部時代は面河本流からの沢をやっていた鬼城さんです。
沢遡上はアブやブヨとの闘いでもあります。
昔日の夏の日を思い出すでしょう。
私は虫よけスプレーをブヨが集中する箇所に振り掛け、
後は、どんなに雲霞のごとくまとわりついても気にしないことにしています。
気にしなければ、意外と平気で過ごせるものです。
大陸の湿地帯や草原の恐怖の蚊や虫たちの襲来を思えば日本の虫なんて可愛いものです。
今回、写真はイマイチでした。
その分、意想外な出会いがあり、山の物語が膨らみました。
御指摘通り梨木香歩の描く物語世界ですね。
こういうお話が、いつも書ければいいのですが?
堂が森に行かれる話は聞いていました。
やはりランスケさん、写真撮影の目的のタイムスケジュールがあるんですね。
私のように行き当たりばったりでは無い。(笑い)
山のあやかし、梨木香歩の世界ですね。
思わず、にやりとしました。
年寄りが間違えないようにMの大文字、小文字、よく分かります。
いつも越えている黒森峠越えが体力的にキツくなってきたので、
桜三里からの保井野ルートでした。
高低差は問題なく楽なのですが、幹線国道は大型トラックが真横を走り抜ける風圧にバランスを崩し巻き込まれそうです(汗)
特にあの狭いトンネルが怖い。
とりあえず問題なく帰還したので自信がつきました。
しばらくは、このルートで堂ヶ森へ通います。
またお山でお会いしましょう。
すらすらと話を書き進めてゆけます。
ずっと物語の名手たちの描く幻想譚を読み続けてきましたから。
でも切っ掛けとなる出会いがないと書けないのが、素人の貧困な想像力の哀しさ。
もう少し、継続的に物語を綴れるようになると、ブログ更新も楽なのですが。
私は写真掲載だけのブログには興味がないので。
彼女と会っていたのは、薄暮から夜明け前の境界を越えた時間。
そうなると、俄然、想像力が膨らみます。
後半の物語は一気に勢いに乗って書き上げました。
雨女さんから聞いたお話は多岐に亘り、その具体的なエピソードを紹介しようかと迷いました。
でも、そうすると四国の狭い山社会です。
(お話の中にmisaさんの知っている人のエピソードも出て来ます)
誰か特定されそうなので抽象的な山の怪異譚に落とし込みました。
その方が読む人も気楽でしょう。
misaさんから山へ行っている間に京都旅行の画像が届いていました。
好評のmisaworldの続編としてスライドショー掲載を予定しています。
相変わらずお嬢さん二人をモデルにしたフォトストーリーは上手いなぁと感心。
今回は、もう一人、スペシャルな登場人物が。
皆さん、お楽しみに。
鞍瀬の頭の夕景はやはり冬場以外でも素晴らしいですね、
また行きたくなりました、それからオカリナを奏でる素敵な方に出会えて羨ましいです、無事に帰られて何よりです、お疲れ様でした。
女性の話を聞いたことがあります。でも 精霊の
ほうが夢があっていいです。
不思議な夜を過ごされましたか?
まるでおとぎ話を読んでいるような錯覚を覚えたのは
私だけなのかな?
個人的であることや自由であることは、この国では浮いてしまう存在・・・
確かに私ほど自由な主婦は居ないとよく言われるけど
それを非難する権利は誰にもないはず
あと何年生きられるのかわからないのに
おとぎの国へ私も足を踏み入れてみましょうか