どうして、この本を文庫化されるまで手に取らなかったのだろう?
星野道夫の死の直前に出版されたアフリカの旅は、
その突然の死が、まだ頭の中でうまく理解できていなかったのと
星野とアフリカという場所が同様に頭のピースにうまく収まらなかったように記憶している。
太古から現在に至る生命の繋がりを夢想して、その現場が辛うじて残る極北の大地
をフィールドとしてきた星野道夫の遺したものは、
失わ . . . 本文を読む
26日の朝、母の容態が急変した。
血圧が40まで下がり40℃近い高熱と意識の混濁…
二人部屋からナースステーション前の個室に移された。
病院から連絡を受け、
「ついに来たか」と気持ちを落ち着かせる。
先ず、ナースステーションで看護師さんの説明を聞く。
その朝は救急指定日だったのが幸いして、当直医の診察を受け
現在は小康状態だという。
病室へ入ると、酸素吸引マスクと針と管で繋が . . . 本文を読む
今夜も眠れない…
じっとしていると、止め処もない想いが溢れ、身を切られるような切なさに苛まれるばかり。
意識的に心を閉ざすよう心掛けている。
普段観ないようなTV番組を深夜まで眺め、疲れて眠るまで本の字面を追う。
ブログ記事「嚥下できない」を書き上げた後、病院を訪れ担当医の説明を聞いた。
頭では納得していたものの「原因不明の高熱と意識障害があり予断を許さない。
高齢であること、嚥 . . . 本文を読む
母の口からの食事摂取機能が停止して二週間近く経過した。
現在は点滴と酸素吸入だけで生命を保っている。
入院当初は食欲も旺盛で、病院食とは別に好物だった
甘夏のゼリーも食後にペロリたいらげていた。
以前から歯科で造った義歯の噛み合わせが悪く、柔らかい食材しか
口にできない状態ではあった。
それで病院食はペースト状のものをお願いした。
そして徐々に固形に近い状態へと戻し、口の運動機 . . . 本文を読む
本屋で手に取った瞬間、「これは買い」と思った。
もちろん湧き上がる積乱雲のインパクト!
写真家、垂水健吾と作家、池澤夏樹の強力タッグは
これで何度目だろう?
互いにオキナワに惹かれ住み着いた二人。
(現在、池澤夏樹は10年暮らしたオキナワを離れパリ近郊に移住)
この二人のオキナワを題材とした仕事、「やさしいオキナワ」PARCO出版も
のびやかな気持ちになれるフォトエッセイだ(書棚 . . . 本文を読む
2010年猛暑の夏は忘れないだろう。
春先の父の死から葬儀を終えて四十九日の法要、納骨を済ませ、
やっと父を彼岸へと送り出し、ひと息ついていると今度は初盆を迎えた。
彼岸から此岸への道が開け父が帰って来る。
作法通り精霊棚を設け、父と共に仏壇に位牌のある浜野おばあさんも一緒に
菩提寺の和尚さんに供養してもらった。
精霊棚に供物や御料具膳を並べお花や樒(しきみ)を活け、
灯篭や . . . 本文を読む
うだるような暑い夏の日は衰える気配もなく、
いや台風通過で湿度が増した分、不快指数が上がったような気さえする。
NHKの戦争特集番組を時間の許す限り、ずっと観ている。
シベリア抑留、朝鮮併合、爆笑問題の公開討論に
昨夜の「色つきの悪夢」カラーでよみがえる第二次世界大戦の記憶…
決して学校の歴史教科書では教えてこなかった戦争の姿(リアル)を伝える姿勢には
今迄の戦争追悼番組にはなか . . . 本文を読む
折口信夫…まれびと、民俗学者、釈迢空名義の優れた歌人。
けっこう、私の折口信夫(おりぐちしのぶ)に対する認識は貧困だ。
本屋でぱらぱら本をめくっていて、この本と出くわした。
「古代から来た未来人、折口信夫」中沢新一(ちくまプリマー新書)
中沢新一の著作は、「チベットのモーツァルト」から
その科学と精霊が交感するような刺激的な言説に惹かれて読み続けていた。
本書の序文から「 . . . 本文を読む
緑陰の水音
2010-08-03 | 森
手術後、痛々しかった針や管が徐々に抜かれ、母の容態も安定してきた。
郷愁の地が、そのまま残されているという朗報が、母の顔に表情を戻し、
失いかけていた生きてゆくための心の張りを取り戻し始めたようだ。
面会時間を過ぎて退室するとき見せた手を振りながら「淋しい」
と哀しそうに微笑む顔に安堵を覚えた…
(「母の入院」に掲載した能面のように表情を失くした顔が近頃の母だった)
そして初盆の法 . . . 本文を読む