こういう本の登場を待っていたのだと思う。 ただし、この本が書かれたのは1993年。およそ20年前。 20世紀が、やがて終わろうとしている時期、「世界の終わり」終末をキーワードにして綴られる論考。 それは巷に溢れた扇情的な世紀末論とは一線を画する。 人という種を、そして人という種が創り上げた文化を多岐にわたって論証してゆく。 私たちの立っているこの足元を、容赦なく白日の下に晒してゆく。 それは正直、とても辛い体験だった。 でも途中でページをおくことような真似はできなかった。 「眼を背けるな」という声が背中を圧し続ける。 それは震災以来、ずっと私たち日本人を叱咤し続けて来た内なる声だったと思う。 . . . 本文を読む
ホッホさんが「美術館へ行きましょう」と云う。 何事かと訝ると、私たちが遥か昔に美大受験のために通っていた松山美術研究所の作品展だという。 ホッホさんや津守さんの作品も出品されているらしい。 ちょっと暇つぶしに、否、ホッホさんの作品紹介のために日盛りの堀之内公園へ足を延ばしました。 . . . 本文を読む
八月も半ばを過ぎると、夏は駆け足で過ぎてゆく。 夏が終わらない内に、少々草臥れた頭を休ませにゆこう。 涼やかな緑の風渡る高原にテントを一張り。 その傍らの木蔭で日がな一日、ぼーっと本を読んで過ごしたい。 . . . 本文を読む
この本も東北の旅からの帰途、東京駅での待ち時間に八重洲ブックセンターの店頭で目に留まった。 いつものようにパラパラ流し読む過程で引っ掛かるものがあった。 あまりジャンルに拘らず読み散らす私が、「あれは本ではない」と手にしないビジネス本の類だった。 . . . 本文を読む
山側の田圃のどんつき、谷津の先に延びた道を辿ると溜池に出た。 溜池の右側を廻って池畔に道が続く。 山から池に流れ込む沢と出会った。さらに沢沿いに奥へと進む。 足元には夏草が茂り蔓がからむ。 . . . 本文を読む
遠い昔の郷愁の風景の中にあって、久しく会えない人のように、 少年の日の鮮烈な記憶に刻まれながら、再び巡り会えなかった切ない夏の思い出。 もう二度と会うことは叶うまいと諦めていた。 ところが、出会ってしまった。 まったく偶然に。 . . . 本文を読む
夏の渓
2012-08-04 | 風景
谷間の狭い空間から望む空は、どんより重い雲が覆っていた。
渓流の砂州に枝を広げ樹は桂だろうか。
その枝先に汗で濡れたTシャツやズボンを干して水着になった。 . . . 本文を読む
風の高原
2012-08-01 | 風景
四国カルストは高知県、愛媛県境1000mから1500m付近に広がる高原状のカルスト台地だ。 松山市内からだと2時間くらいと、石鎚方面への所要時間とほとんど変わらない。 どちらかと云うと夏のカルストは、リゾート地としての印象が強く、あまり近づきたくない場所だった。 . . . 本文を読む