東北の旅に持っていった二冊の本のうちの一冊。 まだ旅の最中、この本の語り口が、すんなり入ってこなかった。 むしろ帰宅して、うだるような陽射しの午後、扇風機のぬるい風に吹かれながら読み始めたら、 惹きこまれ、そのまま部屋が夕暮れの闇に落ちるまで読み耽った。 . . . 本文を読む
14時10分、先の小牛田で乗り継ぎを間違えたため一時間遅れで石巻へ到着した。 列車が駅に近づくに従がって「えっ?」と周囲の街並みを見廻していた。 これが、あの巨大な津波に呑まれた街なのか? . . . 本文を読む
夏休みにも係わらず早朝の電車は高校生たちで混雑していた。 屈託なく「昨日K先輩とね」弾ける笑顔で話す彼女たちに訊いてみたい衝動に駆られる。 「あなたたちは10年後、どんな免疫不全による疾患が待っているか判らないんだよ」と。 . . . 本文を読む
もう一曲、黄金の心を唄った名曲があった。 スティービー・ワンダーの「Stay Gold 」。 あのフランシス・F・コッポラの「アウトザイダー」のエンディングに流れた忘れられない曲。 . . . 本文を読む
呆気なく梅雨が明けた。 青く眩しい空が朝から広がり、その空の高みへとぐんぐん延びてゆく入道雲。 ジリジリ陽射しは照りつけ、じっとしていても汗が滴り落ちる。 そしてうだるような季節の到来を告げる、蝉の声が聴こえ始めた。 . . . 本文を読む
長かった山旅の記述も、今日でやっとピリオドを打てそうです。 昨日は、旅の佳境へと少し展開を急ぐあまりに順序立てた記述を端折ってしまいました。 さて、どこまで戻りましょうか? 竜門小屋の雨の朝から始めましょうか。7/5、竜門避難小屋、山に轟く雷鳴の夜明けです。 . . . 本文を読む
川端康成が雪国の冒頭で「国境の長いトンネルをぬけると」と記した上越分水嶺をくり貫いた長大な隧道を、 東京、新潟間ノンストップのMax トキは、暗い闇に放たれた光の矢のように駆け抜けていった。 一瞬、溢れる光に射竦められ、車窓からの風景が一変した。 そこは見渡す限り青田の広がる茫洋とした、どこまでも青い草の海だった。 . . . 本文を読む