初めて、この場所に立ったとき「楽園」だと思った。
それは、ごく私的な感情であって、多くの人にとっては、
至極ありふれた風景かもしれない。
水辺の桜風景は、かくべつ珍しいわけでもないし、
桜も10年~20年くらいの若木だ。
何が、そんなに琴線を刺激したのだろう?
ずっと桜風景を追いかけて来ていた。
四国内の主だった有名桜から関東周辺の名だたる桜も観て来た。
確かに、どれも華やかで艶やかで圧倒的な存在感だった。
有名な桜は訪れる人も多く、どうしても周辺環境が整備され
造りモノめいた書き割りのような風景であったり、
公園のような風景になってしまう。
整備された清潔な場所の方が、きっと多くの人には寛げるのだろう。
それは川辺を公園のよう整備した親水公園や
海辺を埋め立て整備した人工渚や海浜公園が持て囃される風潮からもよく判る。
そんな過剰な風景や喧騒に疲れて、しばらく野生種の桜である
山桜の咲く風景を追いかけていた。
山に分け入り、素朴な山桜の根方で転寝(うたたね)する時間は
心安らいだ…でも、そこを楽園とは思わなかった。
掲載した画像を見て「あぁ~あの場所か」と頷く人もいるでしょう。
有名な桜の名所ではないけれど、ある山域に通い続ける人にとって、
この場所は周知のところです。
この桜の咲く環境は、柔らかな春草が一面に咲く草地です。
池に注ぎ込む川は、まったく護岸されていない春の小川を思わせるせせらぎ。
川辺には猫柳の和毛(にこげ)が膨らみ、川面に陽光がキラキラ跳ねます。
柳の若葉や葦の茂る水辺。鴨の群れも毎年越冬のために飛来します。
そして、この場所は地元の集落にとっても憩いの場なのでしょう。
定期的に草刈がされ、夏には子供たちの水場となるのかゴムの浮き輪が浮かんでいます。
そう、ここは失われた「里山の懐かしい風景」が残っている場所なのです。
この場所を見い出してから、名だたる桜の銘木に対する情熱がすっかり醒めた。
春限定ではあるが、桃源郷伝説を思い浮かべる極私的「桜の楽園」。
もう一箇所、ここと同様の想いにとらわれた場所があります。
もう15年くらい前でしょうか、西の醍醐桜と並ぶ東の国宝級の千年桜である
三春の滝桜を訪ねたときに出会った阿武隈山中のゆるやかな丘陵地の集落
に咲く桜です。
「不動桜」と呼ばれる山間の集落の中央部、こんもり盛り土したような場所に建つ
お不動さんの御堂を覆うように咲く見事な桜との出会いは、まったく偶然でした。
現在は雑誌サライの表紙を飾ったりして、すっかり有名な存在となりましたが
当時は地元の人くらいしか知らない無名の桜でした。
というのも三春周辺には滝桜の遺伝子を継ぐ樹齢100年を越える桜が
あちらこちらに存在して、わざわざ山中の桜を訪れる人も少なかったようです。
この場所も、まさに「里山の懐かしい風景」そのものでした。
滝桜の帰路、山間の温泉で汗を流し阿武隈山中で道に迷ったのが発端でした。
春霞に淡く煙る山中で、この山間の集落へと迷い込み、
出会った美しい桜(ちょっと仁淀の中越家の桜に似ています)には心底驚きました。
そう桃源郷伝説の導入部のような、山郷の桜の楽園への道行きです(笑)
ごく私的な「楽園」(桃源郷)は、人それぞれであって好いと思います。
私にとって映画は「モーヌの大将」(仏映画)(日本公開時は青春のうんぬんという陳腐な題名)
本は日影丈吉の「猫の泉」だろうか。
それは、ごく私的な感情であって、多くの人にとっては、
至極ありふれた風景かもしれない。
水辺の桜風景は、かくべつ珍しいわけでもないし、
桜も10年~20年くらいの若木だ。
何が、そんなに琴線を刺激したのだろう?
ずっと桜風景を追いかけて来ていた。
四国内の主だった有名桜から関東周辺の名だたる桜も観て来た。
確かに、どれも華やかで艶やかで圧倒的な存在感だった。
有名な桜は訪れる人も多く、どうしても周辺環境が整備され
造りモノめいた書き割りのような風景であったり、
公園のような風景になってしまう。
整備された清潔な場所の方が、きっと多くの人には寛げるのだろう。
それは川辺を公園のよう整備した親水公園や
海辺を埋め立て整備した人工渚や海浜公園が持て囃される風潮からもよく判る。
そんな過剰な風景や喧騒に疲れて、しばらく野生種の桜である
山桜の咲く風景を追いかけていた。
山に分け入り、素朴な山桜の根方で転寝(うたたね)する時間は
心安らいだ…でも、そこを楽園とは思わなかった。
掲載した画像を見て「あぁ~あの場所か」と頷く人もいるでしょう。
有名な桜の名所ではないけれど、ある山域に通い続ける人にとって、
この場所は周知のところです。
この桜の咲く環境は、柔らかな春草が一面に咲く草地です。
池に注ぎ込む川は、まったく護岸されていない春の小川を思わせるせせらぎ。
川辺には猫柳の和毛(にこげ)が膨らみ、川面に陽光がキラキラ跳ねます。
柳の若葉や葦の茂る水辺。鴨の群れも毎年越冬のために飛来します。
そして、この場所は地元の集落にとっても憩いの場なのでしょう。
定期的に草刈がされ、夏には子供たちの水場となるのかゴムの浮き輪が浮かんでいます。
そう、ここは失われた「里山の懐かしい風景」が残っている場所なのです。
この場所を見い出してから、名だたる桜の銘木に対する情熱がすっかり醒めた。
春限定ではあるが、桃源郷伝説を思い浮かべる極私的「桜の楽園」。
もう一箇所、ここと同様の想いにとらわれた場所があります。
もう15年くらい前でしょうか、西の醍醐桜と並ぶ東の国宝級の千年桜である
三春の滝桜を訪ねたときに出会った阿武隈山中のゆるやかな丘陵地の集落
に咲く桜です。
「不動桜」と呼ばれる山間の集落の中央部、こんもり盛り土したような場所に建つ
お不動さんの御堂を覆うように咲く見事な桜との出会いは、まったく偶然でした。
現在は雑誌サライの表紙を飾ったりして、すっかり有名な存在となりましたが
当時は地元の人くらいしか知らない無名の桜でした。
というのも三春周辺には滝桜の遺伝子を継ぐ樹齢100年を越える桜が
あちらこちらに存在して、わざわざ山中の桜を訪れる人も少なかったようです。
この場所も、まさに「里山の懐かしい風景」そのものでした。
滝桜の帰路、山間の温泉で汗を流し阿武隈山中で道に迷ったのが発端でした。
春霞に淡く煙る山中で、この山間の集落へと迷い込み、
出会った美しい桜(ちょっと仁淀の中越家の桜に似ています)には心底驚きました。
そう桃源郷伝説の導入部のような、山郷の桜の楽園への道行きです(笑)
ごく私的な「楽園」(桃源郷)は、人それぞれであって好いと思います。
私にとって映画は「モーヌの大将」(仏映画)(日本公開時は青春のうんぬんという陳腐な題名)
本は日影丈吉の「猫の泉」だろうか。
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