妻は外出したら帰りは買い物をするのが通例となっている。
「3時にいつもの場所に迎えに来て」
3時と言われると私の空きのある自由な午後時間は消えてしまう。
いつもの場所、そこはバスの発車場で次々にバスが出ていく。
間が悪いと私が停車していると「どいて」とばかりに次のバスが警笛を鳴らす。
妻は3つの買い物エコバッグに食べ物を詰め込んで待合の屋外ベンチに座っている。
たまに時間どうりにいないこともある。
「レジで待たされた」と言い訳する。
私は同じ場所に長く停車できないので、もう一度ロータリーを回ってくる。
「わあ、重たあ、ふうっ」
と言いながら乗り込んでくる。
発進できるまでしばらく荷物とごそごそ格闘していて時間がかかる。
「まだやで、まだやで」
と繰り返しながら、なかなかドアを閉めない。
私は「何でもいいかから、チャッチャとドアを閉めろっ」と思いながら辛抱強く待つ。
3分ほどで家に着く。
「後ろの荷物2つ持って降りてね、私新聞と郵便を取って帰るから。ひとつのバッグは卵入ってるから投げつけないでね」
私は思う。
「俺がいつバッグを投げつけた?このやろ、言葉に気をつけろっ」
女房は極く自然な言い回しのつもりみたいだ。
これが俺の人生だ。