おはよう。
え…?休みじゃなかったっけ?と僕は慌てて起きる。
な、な、なに!?
「銀河食堂.あ.ら.わ.る、が貴方の心の口癖じゃなかったかしら?」ふふふ、と笑ったのは小料理屋風の女将。
なぜ?僕の寝起きに現れるんだ?僕は少し顰めた顔をした。
「あら、やだ、貴方がここに寝てるから起こしたんじゃない」と女将はプゥと頬を膨らませた。
え?んン!?見ると僕はパジャマ姿で銀河食堂の3つ並べた椅子に寝てたの!?
トンチンカンな夢でもみてるような、そっか、春は頭が緩むって言うから、昨日、真っ直ぐ帰れなかったのかなぁ…僕。それにしてもパジャマは着てるじゃないか。もしや夢遊病でも起こしたのかな?
「ねぇ、ボーッとしてないで、おにぎり食べない?」
お皿にたくさん乗せられたおにぎりに、僕のお腹がグーっ👍と返事する。
「良かったぁ、これね菜の花の塩漬けと鮭なのよ」女将はニコッと微笑んで僕をみる。
ありがとうございます、と大きな口をあけパクリ。
美味しい!懐かしい味がする!この硬いおにぎりも何だか懐かしいし!
「おにぎりは硬めに決まってるじゃないのー。持って走れないと意味ないんだからー」女将は少し不満げに返す。
そうそう、持って走れる感じ、好きだよ、僕。たまらなく僕は笑顔で即答した。
「うふふ、嬉し♡じゃぁ、じゃぁ、桜が咲き始めたから、持って花見でもしなさい」
え?起きたばかりだよ!まだそんなに目が覚めたわけじゃないし…
「ふふふ、はい、銀河食堂特上の煎茶よ♡ふふふ。作法なんていらないから、一服いかが?」
僕の前に小さな碗に入ったお茶をコクッとのむと柔らかい甘味はスッと後をひかず口から消えた。何と女将に伝えて良いかわからない。そっと女将をみると
「目が覚めた?さ、おにぎり持って桜を愛でてよ。また待ってるから」と静かに女将が言いポロっと一粒の涙を落とした。
どうしたの?僕は慌てて立ちあがると僕の前にノイズが走り揺れる。コレも何度か味わったことある。夢のようで現実。現実かもしれない夢。
気づくと本当の現実かもしれない夢かわからない現実。僕は近くの丘に向かおうとしている。
丘の上にはたくさんの桜が咲き始めている。
パジャマでなく普段着で、手には葉蘭に包まれたおにぎりを持っている。
さて、何分咲きだろう。
※朝食風景
・鮭と菜の花のおにぎり
・味噌汁
・貝の煮物
八女限定煎茶。
茶碗:鳥獣戯画