今朝5時のおかあさんは夢の中。
笑うことが少ないおかあさんは夢の中。
きっと、ろくな夢しか見てないと思う。
魘されたり、泣いて驚いて目を覚ますことが多くなったとか。
仕方ない、私の出番のようね。
私はおかあさんの夢の中に飛びこむ。
みつけた、お母さん夢の中でボーッと立ってる(笑)
私の日常だった、あの頃みたいに、お母さんの胸の中に私はとびこむわ。
あっ!
おかあさんは驚き直ぐに、満面の笑みで、珊瑚!とあの頃のイントネーションで私をよんだ。
という事は・・・と呟き、おかあさんは今は夢の中と気づいてくれたわ。
だって、私、一昨年、死んじゃったものね。
でも本当?! 私が本当の珊瑚か確認する為、おかあさんは自分自身を遠くに置き、私のオーラを読みとってくる。
私は生前と同じ私のオーラをフェロモンの様な勢いで放出したわよ。
わぁっ。久しぶり、珊瑚!珊瑚!珊瑚ーっ!
おかあさんは、私をグチャリと抱き、私の後頭部の匂いを嗅いだ。
後頭部は、おかあさんの皮脂で逆毛になっていくけど、覚悟しなくちゃね。
あー、珊瑚の匂いー、珊瑚っ、珊瑚っと連呼し私を抱く。
そして突然、夢の中で、おかあさんの昔の知り合いが登場しての。
これ私の知恵。
溺愛された私は、夢の中で私だけ登場すると、おかあさん永久に目を覚まさない気がしてね 苦笑。
知り合いと話の最中、おかあさんの肩、胸、首の後ろを、生前同様くるくる回る。
ちょっと子供が居るから、今は無理。珊瑚が好きだからさ。
おかあさんは知り合いの話をアッサリ断って、私を抱き込むわ。
これは想定内。
少し窮屈なので、おかあさんの胸から降りようとすると、はいはい、とおかあさんは再び抱きなおす。
おかあさんは全身の細部を敏感にさせ、私を感じ抱きしめて止まない。
それは、おかあさん自身、目覚めると終わりだとわかっているから。
私は、生前より強く抱かれているのを我慢しているけど揉まれているくらい強いの。
おかあさんも少し自分が強引なのを承知でいるようだけど、本能が無理らしい。
そこで、またひとり知り合いを登場させてみたわ。
少し話が長くなって、おかあさんは話しているうちに、突然、相手に放ったの。
少しは珊瑚のこと考えてっ!
おかあさんの感情は怒りだった。
相手は私がみえないよ・・・
と呟いたものの、おかあさんは夢の中の私の一時さえも邪魔されたくなかったよう。
珊瑚、珊瑚って、おかあさんは再び連呼し、私を抱く。
おかあさんを楽しませ笑わせたかったけれど、おかあさんは怒りを発した。
私の知恵は失敗し、私は、ひょいとお母さんの胸から降りて、朝だよと去った。
おかあさんは、ハッと気づき意味がわかったような顔をしてた。
その後の様子はシメジとブナ姉さんに聞いている。
目が覚めた、おかあさんは落ち込んでいるかと思いきや、嬉しそうにしていたという。
私の懐かしい匂い、形、肌、毛質、毛艶、オーラ全てに満たされて
「あなたたちは、抱っこさせてくれないもん」とベッドから立ち上がり台所へ向かったそうなの。
お姉さんたちのジュレ、ちゅーる、カリカリは出たものの、普段の缶詰がメニューから抜けていたらしいわ。
それも気づかず、にたーっとした顔で、ししゃもを焼きながら
ね?ししゃもは赤身、白身? ねえ?!と呟き、あぁ、魚卵類ねっ♪と、ひとり頷いていたという。
おかあさん、それくらいが丁度よいの。
おかあさんは、赤身、白身か迷ってるくらいの頭で生きてくれた方が私、安心するの。
ね、おかあさん。
今日のおかあさん。
おかあさんは正夢、夢の言伝、ただの夢の見分けをしています。
正夢は、ぼんやり受けとめて、ゆっくり起き、考え込む姿が見受けられます。
言伝は、ヒントの様なものが来るので、直ぐ起きて解読し始めます。
ただの夢とわかれば容赦なく頭で操作し、切り捨て次の夢へ入っています。
どれも寝ているあいだ表情にでるので、私は、ほったらかしています。
今日のような夢は・・・秘密です。
おかあさんは、1日、珊瑚を思いだしニタっとしておりました。
ブナより。