早くも梅雨走りっていいよが
雨にならんうちに
人が煩しなる前に
私も仕事を早よ済ませんとな。
朝早く家でて商店街に通いよるやよ。
昔より猫が煙たがられるやろ
おしっこが臭いとか
おしっこが臭いとか
おしっこが臭いとか
毛が散るとか
毛が散るとか
毛が散るとかね
昔よ、有名な古い商店街に鼠がよく出てさ。
鼠はすばしっこいから人がよう見つけきらん。
私達は人から見えるくらいの大きさやわな。
なし私達がここに居るか尋ねもせんと払われて肩身狭いでね。
だけ何故て決まっとるがね、鼠がおるけよ。
どれくらい商店街に鼠が居ったと思うけ。
大雨で商店街横の川が氾濫した時があったさ。
大変やったが辛うじて仲間たちも水害から逃れられて助かってな。
だが翌朝の川みて人が騒いでたんよ。
溝鼠さんが川みっしり浮いて流れててな。
いうたら私達くらいの大きさよ。
私たち駆除はするんで。
ただ溝鼠を喰すのは私達でも頭くらいが精一杯の大きさよ。
人間様は自分たちが綺麗にしとるとか。
人間様は自分たちの商売に邪魔とか言うけどさ。
実際、これだけの数の鼠が潜んでウロチョロしよるん。
その数の中の私達はどれだけ少ないと思う。
ま、ちょっとした不満ばなし。
少し前の先祖から聞いた御話。
さて商店街きたら早く仕事済ませんとな。
カリカリは硬いやろ、喉が渇きやすいんよ。
缶詰は生きてないやろ、新鮮味がないんよ。
こうしてな、商店街をウロチョロして新鮮なご馳走を。
こうしてな、御馳走ありつき兼、人間様のお手伝いを。
おしっこが臭いとか
おしっこが臭いとか
おしっこが臭いとか
毛が散るとか
毛が散るとか
毛が散るとか
ちょっと多めに見てくれせんやろか。
人間様は私達より長く生きるんやろ。
長い人生のうちの私達のことなんか、ちょっとやん。
な、梅雨走りやて
雨にならんうちに
人が煩しなる前に
私も仕事を早よ済ませんとな。