孤独死、孤立死

　またしても孤立死のニュースが目に飛び込んだ。”分割して統治せよ”と何かで読んだことがあるが、人間を支配し、思うように自在に動かすには各個バラバラにしてしまう方がいい。現在の集合住宅はまさにそれに最適、”人と面つき合わせていなくて済むから楽”と思わせ、実質はひとりひとりに首輪がついているのだ。
　この点については私のカンは当たった。安泰な企業に就職することは全く簡単だったがあえてそれを避けた。”ママ、僕ン家はあそこだよね”と少年が指差す、地震が来たら液状化現象が起こりそうな海面すれすれの土地に並んだ壮大なマンション群、その十数階、そんなところに居住する気持ちは、如何に高給で如何にカイシャが安泰でも、毛頭なかった。
　汗にまみれてでもビワの実をちぎって食べ、まだ少し青いトマトを・・・ウーン美味い、これぞ露地の香りと味だ！”なんて食べたり、近所の若妻が今採ったと持ってきたきゅうりを齧ったりしながら・・・アー偶にはシャキッと冷房の効いたレストランでステーキでも食ってみたい、でも町に下りるのがめんどくさいし、カネもないなあ、そうか、ドクター・ストップがかかってたっけ、あの血液検査表だけしか見てないヤブめ！”なんて。
　これが人間の生き方ですよ。ヤフーオークションを偶にやるけど落札して下さった人には必ず、少しばかりだが”心”も上げる。何だか嬉しいから。