単身赴任

　足かけ２０年単身赴任していた。そのほかにも長期出張したことが何度かあった。最近は３年前に半年出張していた。若い頃は、まさかそういう生活になるとは考えもしなかった。我家は奥まった人通りのないところにあって、周辺は休耕田の荒地でイタチやタヌキ、マムシなどの出没するところ、家は大きく稀にポルターガイストが出る！妻はよく辛抱した、・・・と言うのはもしかして自惚れかも。だって、亭主元気で留守がいい、と言うではないか。

　『こんな素敵なヒトをほったらかしてイケナイ奥さん！　アタシ取っちゃおうしら』と言う女性が居そうな職場ではなく野郎ばかりのガサツな仕事だったから事なきを得た。オマエいつまでもそんなことをしていると糸の切れたタコみたいになるぞ、と言った悪友が居たが如何せん妻に財布を握られていたのでどうもこうもならなかった。

　さて、後期高齢者にあと一歩、しかし、もしもお国の命とあらば軍艦の設計なら今からでも出向く。最近の若い技術者、信用ならない。ろくに英語読めない、書けない話せない、材料と限界寸法の観念がない、工学的力学的センスに欠ける、対数を知らない、ＣＡＤをまともに使えない、微分方程式を立てられない、etc.etc.・・・『ご主人は○○○計画の○○の設計中に心筋梗塞で亡くなられました』などと妻に電報なりメールなりが入ったらカッコイイだろうな、てのは自惚れか。でもスコーシそういう山っ気が残っているのは放浪癖のせいか。