肩の関節に注射を打ってもらって、少し楽になっていたのだが、二日ほど経つうちにまた痛みがぶり返して来た・・
やはりMRIか・・と思いながら病院へ。
結果、もう一度注射を打ち、様子を見る事に。
実は、僕はかなり強度の閉所恐怖症で、叔母からも、MRIは無理じゃないかな・・と言われていたので、内心ほっとした・・
閉所恐怖症の気は、思い起こせば幼い頃からあったようなのだが、完全に意識したのはパリでレコーディングをしていた時。
一月近く居て、レコーディングスタジオも一ヶ所ではなかったので、ホテルも幾つか泊まり歩いた。
その中の一つ、ホテルイビス、(新宿にもあるホテルチェーンだが、元はフランスボルドーらしい)ここに泊まった時に、
レコーディングから帰って来て、エレベーターに閉じ込められて発覚した。
それほど狭いエレベーターではなかったのだが、4人で乗って、ロビー階に到着しても扉が開かない・・
開くのボタンを押しても、別な階のボタンを押しても全く反応してくれない・・
今の日本のエレベーターと違って、緊急連絡のボタンなどないのでどうする事も出来ない。
僕以外の乗客は、やれやれ、と言った調子でおとなしく対処を待っていたのだが、
僕はしだいに息苦しくなって来て、心拍数は上がり、呼吸は速くなり、頭に血がのぼり、くらくらして来た・・
貧血状態!
目の前が暗くなって来た・・
始めての事で、どうしたら良いのか分からない。
どうやらロビー階に着いてはいるようなので、力まかせに扉を開こうとしてみたが、10センチほどしか扉は開かない。
それでも、目の前に視界が広がり、空気の流通が出来た。
僕はその隙間に口を突っ込むようにして、「Help me」と叫んでいた。
そのまま深呼吸を繰り返す。
少し楽になったが、手を離し、扉が閉まるとまた苦しくなって来る・・
何分位扉の隙間から叫び、呼吸していたか・・
やがて気がついたフロントの人間が、別にあわてた風も無くやってきて、エレベーターの扉、上の方をバンと平手で叩き、
その瞬間すっと扉は開いた・・・
しょっちゅう有る事なのだろう、フロントマンの態度を見ると、そう思える。
扉が開き、僕らが出て来た時には、彼はすでに僕らに背を向け戻って行こうとしていたから。
文句を言おうにもフランス語は出来ないし・・
と思ったら、つたない英語で悪口が口をついて出ていた。
彼も分かったらしい、血相を変えて振り向いたから。
そんな訳で、MRIは受けたいのだが、その閉塞感に耐えられないのでは、と思っていたから、ほっとしたのだ。
二本目の注射はかなり保っている。
でも、相変わらず肩を回すと、壊れた機械のように、グギグギばきばき音がするのだ・・・・
写真はレコーディングで訪れた時のパリ。
ベルリオーズ通りの近くかな・・