灰色の雲切れ間に青空が広がっている。天気予報は晴れ。早朝から畑で草むしりをする。梅雨の雨空に慣れてしまいナメクジみたいになった体には、カンカン照りの太陽は毒だ。日が昇るまでにしておこう。急に夏の太陽に当たって干からびては大を変だから。続きは夕方にしよう。
家に帰りひと息ついてふと空を見上げると、電線にツバメがとまっている。上下2本の線の上に、上に2羽とまり下に4羽とまっている。上が親で下が子供たちだろうか。軒下の巣から無事巣立ったようだ。
それにしても蒸し暑い。梅雨らしいっていえばそうななんだけど……。気が付くと私の足元は、飼い猫のハナコが寝転んでいる。いつの間にやって来たのだろうか。ハナコは今年で12歳になる。この頃では昼の間はずっと2階で寝ていて、お腹が空いたときにしか降りてこない。
ハナコも暑いのだろう、まだ湿ったコンクリートの上にごろり横になっている。「そんなところで寝転んんだら、毛が濡れてしまうだろうに」と思っていたら、私の気持が通じたようだ。ハナコはピョンと跳ね起きて、庭の中央で低く腰を下げて身構えた。空にはツバメが輪を描いて飛んでいる。
「えーい」ハナコの声が聞こえそうだ。空中から急降下で飛んで来るツバメを捕まえよとしているのだ。「知っている猫の中で一番かわいい」と猫好きの知人に言われるほどのハナコには、ネズミ退治の名ハンターというもう一つ顔がある。「あんなにいっぱい、いったいどこにいるのだろうか」と思うほど、いつもネズミをくわえて来る。おかげで我が家には、ハナコの捕って来たネズミを挟んで捨てる専用の火箸があるくらいだ。
そのハナコですらツバメのスピードにはかなわないようだ。さっきから鼻先すれすれに飛ぶツバメをハナコはどうしても捕まえることができないでいる。親が教えているのだろうか。次々に鼻先すれすれに飛んで来るツバメに、さすがのハナコも降参したようだ。庭に止めていた車の下に逃げ込んでしまった。ツバメ達は得意げに車の上を何度も丸く飛ぶと、どこかに行ってしまった。
「負けてやったんだよね、ハナコ」車の下から空を見上げるハナコに、思わず私は声をかけてしまった。もうすぐ暑い夏がやってくるね。ハナコ
家に帰りひと息ついてふと空を見上げると、電線にツバメがとまっている。上下2本の線の上に、上に2羽とまり下に4羽とまっている。上が親で下が子供たちだろうか。軒下の巣から無事巣立ったようだ。
それにしても蒸し暑い。梅雨らしいっていえばそうななんだけど……。気が付くと私の足元は、飼い猫のハナコが寝転んでいる。いつの間にやって来たのだろうか。ハナコは今年で12歳になる。この頃では昼の間はずっと2階で寝ていて、お腹が空いたときにしか降りてこない。
ハナコも暑いのだろう、まだ湿ったコンクリートの上にごろり横になっている。「そんなところで寝転んんだら、毛が濡れてしまうだろうに」と思っていたら、私の気持が通じたようだ。ハナコはピョンと跳ね起きて、庭の中央で低く腰を下げて身構えた。空にはツバメが輪を描いて飛んでいる。
「えーい」ハナコの声が聞こえそうだ。空中から急降下で飛んで来るツバメを捕まえよとしているのだ。「知っている猫の中で一番かわいい」と猫好きの知人に言われるほどのハナコには、ネズミ退治の名ハンターというもう一つ顔がある。「あんなにいっぱい、いったいどこにいるのだろうか」と思うほど、いつもネズミをくわえて来る。おかげで我が家には、ハナコの捕って来たネズミを挟んで捨てる専用の火箸があるくらいだ。
そのハナコですらツバメのスピードにはかなわないようだ。さっきから鼻先すれすれに飛ぶツバメをハナコはどうしても捕まえることができないでいる。親が教えているのだろうか。次々に鼻先すれすれに飛んで来るツバメに、さすがのハナコも降参したようだ。庭に止めていた車の下に逃げ込んでしまった。ツバメ達は得意げに車の上を何度も丸く飛ぶと、どこかに行ってしまった。
「負けてやったんだよね、ハナコ」車の下から空を見上げるハナコに、思わず私は声をかけてしまった。もうすぐ暑い夏がやってくるね。ハナコ