草むしりしながら

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草むしりの「幼年時代」その12 

2019-04-09 14:29:14 | 草むしりの幼年時代

草むしりの幼年時代その12
 
 叔母
 
 私がまだ小学校の低学年の頃だったと思う。その頃まだ高校生だった叔母を訪ねて、男の人が家に来たことがあった。今思うと、あの人は叔母の彼氏だったのかもしれない。

 前後の記憶がはっきりしないが、私を見てその人が「○○○さんに似ているね」と言った。○○○さんとは叔母のことで、小さな子供の目から見ても叔母はきれいな人だった。

 その叔母に似ていると言われて、とても嬉しかったことを覚えている。いつかは私も、叔母のようにきれいになれる。漠然とそんなことを考えていた。

 叔母はそれから県外に就職し、ますますきれいになっていった。一方私に方は叔母に似ていると言われた時が最高で、大きくなるにつれて叔母とは似ても似つかぬようになってしまった。

 さて件の元彼氏、それから五〇年ほどして、再び家を訪ねてきた。「たまたま家の前を通りかかったから」と言いながら、昔叔母と仲良しで、ここに遊び来たことがあると言った。それから最後に○○○さん今どうされていますかと、叔母の消息を聞かれた。

 「ああ、あの人だ」私はすぐのその人が誰だか分かった。「私は○○○の姪にあたるものですが、叔母は○○で結婚して、今でも元気にしております」と答えた。その人は昔叔母の部屋だった二階を見上げ、私に黙礼をして帰って行った。

 私の顔を叔母に重ね合わせたのだろうか。だったらチョッと気の毒ですね。叔母は今でもきれいですよと、言えばよかったなぁ。それにしても、齢を取っても訪ねて来てくれる人がいるなんて。やはり叔母は誰が見てもきれいだったのだろう。
 
 今日はやけに叔母のことを思い出す。夕飯の後、久ぶりに電話をしてみよう。