草むしりしながら

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たまがる

2019-05-17 12:22:07 | 草むしりの得意料理
たまがる
  
 「たまがる」とは当地の方言で「驚く」という意味です。若い女性なら赤面してしまうようなこの方言、この頃ではあまり聞かれなくなりました。私などは若くもないのに、「驚いた」「びっくりした」などと日ごろは言っておりますが、本当に驚いた時などは「ああ、たまがった」などと口走ってしまいます。子どもの頃に馴染んだ言葉はそう簡単には抜けません。

 さてこの「たまがる」は、わらびのあく抜方法を説明するときにも使われます。あく抜きの方法は、蕨に灰を振りかけ、たっぷりの熱湯を注いで一晩置くのですが、蕨に熱湯をかけることを「たまがらかす」と言うのです。しかしこちらの「たまがらかす」も、近頃ではめったに聞かなくなりました。そればかりか、蕨など山に採りにも行かないし、食卓に上ることさえなくなってしまいました。
 
 ところが先日、立派な棒蕨を一握り頂く機会がありました。ちょっと面倒くさいなどと内心思いながら、喜んでいただきました。
 
 蕨は煮れば煮るほど固くなるといいます。たまがらかした蕨を濃い目の煮汁でさっと煮て、しばらく置いておきます。けっきょく食べたのはその翌日になってしまいましたが、シャキシャキの後にヌルっと来る食感が、たまりませんでした。

 「私のたまがらせ方が、たまがるほど上手なのよ」と変な自慢を家族にしてしまいました。しかしこんなに美味しいのなら、来年は山に蕨を採りに行こうかとも思いました。