ひがみ
風邪のためしばらくブログをお休みしておりました。歳のせいか治りが遅く、唇がガサガサに荒れててしまいました。いやはや風邪などひくものではないですね。皆さまお気を付け下さい。
まだ風邪が治りきらないうちに書いたからでしょうか、前回のブログにはやけに恨みがましいことを書いてしまいました。姉が熱を出すと桃缶を食べさせてもらえたが、私が熱を出してた時は買ってくれなかったと。
これはひがみですね。恥ずかしながら私は、どちらかというとこの手のひがみが人一強い方です。しかし熱が下がって冷静になって考えてみると、両親や祖父母が私だけにしてくれたことも多少はあります。多少はなんてやはりひがみ根性は抜けていませんね……。
子どもの頃から丈夫だけが取り柄の私でしたが、一つだけ弱点がありました。それは冬になると唇がガサガサに荒れてしまい、やがて真っ赤に腫れてしまうのです。そんな唇で笑おうものならさあ大変。ぷっくりと腫れた唇の皮が破れて、血が噴き出してしまうことがたびたびありました。たぶんしもやけ体質だったのでしょう。同様に冬場の手のしもやけも悩みの種でしたから。
そうなると父は決まって蜂蜜を買ってきて、私の唇に塗ってくれました。「舐めてはダメだよ」と言われていたのに、我慢できずにすぐに舐めてしまいました。それでも何度か塗っているうちに、唇はきれいに治っておりました。
以前その思い出話が新聞に載ったことがありました。それを読んだ姉は「あんただけが蜂蜜を買ってもらっていた」と言いだしました。まるで私だけが親にかわいがられていたような姉のひがんだ言い方に、ちょっと苦笑しました。
「でも唇が腫れて血が出たことないでしょう」
「ない」
「私はね、毎年腫れていたんだよ!声を出して笑うと腫れたところが切れてね、血がバーッと出て唇が血だらけになるんだよ。だからね、小学生の子どもがね。笑う時には口を窄めてね、大口開けて笑わないようにしていたんだよ。そんなことに、なったことある?」
「ない」
唇を窄めて河童のような顔をして笑って見せる私に、姉は答えました。
私には私の。姉には姉の。幼年時代の思い出があるようです。