16品(良医の譬え)
叡智(えいち)聡明に達し。
薬の使い方に明らかに鍛錬している。
衆生の病気をよく治す。
その人はもろもろの子息多く。
約、十人、二十人。
ないし、数百人に至る。
以って、用事があり。
他国の遠くに至る。
まろもろの子は、至った後。
他の毒薬を飲んだ。
薬は悶絶、乱れるを発した。
地面を転げまわった。(地を這い。喉が乾き)
この時、その父は。
他国を廻って帰ってきた。
もろもろ子は毒を飲んだ。
或いは本心を失い。
或いは本心を失わなかった。
遥(はる)かにその父を見て。
皆、大歓喜した。
拝し次のように質問した。
善く安穏に帰国されました。
我等(われら)の愚痴をお聞きください。
誤って毒薬を服しました。
治療しお救い下さることを願います。
更に寿命を賜(たまわ)ること。
父は子供らを見た。
苦悩していたこの如く。
もろもろの経によって。
好む薬草を求め。
色香りは美味。
全ての資質を具足している。
従い和合している。
子供たちに服用させた。
しかし、この言葉の作用は、
この大良い薬は、
色香りは美味。
全ての資質を具足している。
汝らが服用することが出来ると。
苦悩を速やかに除く。
病を繰り返す患者はいない。
その、もろもろの子の中に。
本心を失わなかった者は。
この良薬を見て。
色香り良く好み。
即、これを服用した。
病気は微塵もなく良く除かれた。
他の本心を失った者は。
その父が来るのを見。
また、歓喜しているのを推察し。
質問し病気を治すことを求めたけれど。
しかし、その薬を与えたところ。
しかして、頑固に服用しない。
その所の者は誰。
毒気が深くはいり。
本心を失っている故。
人が実際に好む。
色香りの薬。
しかして、美味でないと思った。
父はこの考察を行った。
このこは可哀想である。
毒のために当てられている。
こころ皆、転び倒れる。
推察するに我を見て喜び。
救済、療養の手を求め。
このごとき薬を好む。
しかして、頑固服用しない。
我、今、当に方便を施す。
この薬を服用させるため。
即、この言葉を実行した。
汝らは当に知る。
我、今、老衰している。
死ぬときに至っている。
この好む良薬を。
今、ここに留めておく。
汝は取って服用することが出来る。
差別なく憂いている。
この教えを実行してから。
また、他国に至った。
使いを遣わして告げた。
汝ら父は死んだ。
この時、もろもろの子は。
父に背いて喪失したのを聞いて。
こころは大いに憂い悩んだ。
しかして、この思いは作用した。
もし、父がこの場に居る人なら。
我らを等しく慈愛し。
良く救護するのを見る。
今、我を捨てた者である。
他国で遠く喪失している。
自ら考えてみると。
孤児であって頼りにする者がいない。
常に懐(なつ)かしみ悲観した。
こころ遂に悟った。
ないし、この薬を知る。
色香り美味にして。
即、是を服用した。
毒病、皆、治癒した。
その父は子のことを聞き。
差別なく救えた事を知った。
尋ね便りをだし帰り来た。
このことを見ることが出来た。
もろもろの善男子。
そのこころは何。
よく実行する人が居るか?
この良い医者の喩えを説く。
嘘の妄想の罪ではない。
居りません。世尊。
仏の言葉は。
我またこの事の如し。
仏のこころを成して以来。
量が無く果てしがない。
例えれば百千万億ナユタアソギ劫の時を経る。
よって衆生は故に。
方便の力を以って。
言葉が当に滅する時。
また、能力が有ったり無かったり。
かく如き法は我を説く。
嘘の妄想を過ぎる者。
そのとき世尊は。
重ねてこの意義を宣言しようと欲した。
しかして、げ言(歌のような物語)を説く。
叡智(えいち)聡明に達し。
薬の使い方に明らかに鍛錬している。
衆生の病気をよく治す。
その人はもろもろの子息多く。
約、十人、二十人。
ないし、数百人に至る。
以って、用事があり。
他国の遠くに至る。
まろもろの子は、至った後。
他の毒薬を飲んだ。
薬は悶絶、乱れるを発した。
地面を転げまわった。(地を這い。喉が乾き)
この時、その父は。
他国を廻って帰ってきた。
もろもろ子は毒を飲んだ。
或いは本心を失い。
或いは本心を失わなかった。
遥(はる)かにその父を見て。
皆、大歓喜した。
拝し次のように質問した。
善く安穏に帰国されました。
我等(われら)の愚痴をお聞きください。
誤って毒薬を服しました。
治療しお救い下さることを願います。
更に寿命を賜(たまわ)ること。
父は子供らを見た。
苦悩していたこの如く。
もろもろの経によって。
好む薬草を求め。
色香りは美味。
全ての資質を具足している。
従い和合している。
子供たちに服用させた。
しかし、この言葉の作用は、
この大良い薬は、
色香りは美味。
全ての資質を具足している。
汝らが服用することが出来ると。
苦悩を速やかに除く。
病を繰り返す患者はいない。
その、もろもろの子の中に。
本心を失わなかった者は。
この良薬を見て。
色香り良く好み。
即、これを服用した。
病気は微塵もなく良く除かれた。
他の本心を失った者は。
その父が来るのを見。
また、歓喜しているのを推察し。
質問し病気を治すことを求めたけれど。
しかし、その薬を与えたところ。
しかして、頑固に服用しない。
その所の者は誰。
毒気が深くはいり。
本心を失っている故。
人が実際に好む。
色香りの薬。
しかして、美味でないと思った。
父はこの考察を行った。
このこは可哀想である。
毒のために当てられている。
こころ皆、転び倒れる。
推察するに我を見て喜び。
救済、療養の手を求め。
このごとき薬を好む。
しかして、頑固服用しない。
我、今、当に方便を施す。
この薬を服用させるため。
即、この言葉を実行した。
汝らは当に知る。
我、今、老衰している。
死ぬときに至っている。
この好む良薬を。
今、ここに留めておく。
汝は取って服用することが出来る。
差別なく憂いている。
この教えを実行してから。
また、他国に至った。
使いを遣わして告げた。
汝ら父は死んだ。
この時、もろもろの子は。
父に背いて喪失したのを聞いて。
こころは大いに憂い悩んだ。
しかして、この思いは作用した。
もし、父がこの場に居る人なら。
我らを等しく慈愛し。
良く救護するのを見る。
今、我を捨てた者である。
他国で遠く喪失している。
自ら考えてみると。
孤児であって頼りにする者がいない。
常に懐(なつ)かしみ悲観した。
こころ遂に悟った。
ないし、この薬を知る。
色香り美味にして。
即、是を服用した。
毒病、皆、治癒した。
その父は子のことを聞き。
差別なく救えた事を知った。
尋ね便りをだし帰り来た。
このことを見ることが出来た。
もろもろの善男子。
そのこころは何。
よく実行する人が居るか?
この良い医者の喩えを説く。
嘘の妄想の罪ではない。
居りません。世尊。
仏の言葉は。
我またこの事の如し。
仏のこころを成して以来。
量が無く果てしがない。
例えれば百千万億ナユタアソギ劫の時を経る。
よって衆生は故に。
方便の力を以って。
言葉が当に滅する時。
また、能力が有ったり無かったり。
かく如き法は我を説く。
嘘の妄想を過ぎる者。
そのとき世尊は。
重ねてこの意義を宣言しようと欲した。
しかして、げ言(歌のような物語)を説く。