0303_西の地球と神様の約束(001)裕也の冒険-阿弥陀如来の約束(01)-
--阿弥陀如来(あみだにょうらい)の約束(01)--
裕也は、河川(かせん)の堤防(ていぼう)で朝のウォーキングをしていた。
道端に『げろ』が有る。
(誰か酔って吐いたのかな?)
(昨日の晩に宴会か?)
(いい気なものだ)
(うぅぅぅ)
裕也は、突然に唸(うな)った。
(げろに惹(ひ)きつけられる)
(え!げろなんて食べたくないぞ)
裕也は、必死で堪(こら)えた。
「ギュギュギュギュン」
次元が変わった。
外界が渦(うず)を巻く。
頭がクラつく。
(治(おさ)まった)
辺りを見回すと裕也は、川沿いの森の中にいた。
小さな女の子が、げろを手ですくい口に持っていく。
「だめだよ。人の吐(は)いたものを食べるなんて」
女の子は、口に入れた。
「えぇぇぇぇん」
そして、泣き出す。
女の子に手には、キラキラ光った『げろ』がある。
げろと言うか、イメージである。
女の子は、裕也の口にげろを押し付ける。
(キラキラだから?
ままよ)
拒めない。
凄(すご)い意志の力である。
仕方なく裕也は、一口食べた。
(美味しくない。普通のげろである)
「どうして人が吐いたものを食べてるの?」
裕也は、素直に答えるか分からないが女の子に尋(たず)ねた。
「美味しいでしょ」
「ただの酸っぱいげろの味だけど」
「ごめんなさい。
そんな味とは、知らなかったの。
私には味がしないの」
少し間を空(あ)けて女の子は答える。
「私は、罰か、げろしか食べれないの。
仏様なら治せると、
阿弥陀仏さまを探してるの」
「ここは、西方浄土だよね?」
裕也は、ここがどこか確かめる必要がある。
西方浄土には、阿弥陀仏さまが居るからである。
「そうなの?分からない」
「西の地球だよ」
裕也は、感覚的に分かった。
鼻で一息吸う。
先祖の懐かしい匂いがする。
「ここに阿弥陀仏さまは、居(お)わすはずだよ」
「本当に?いるの?」
裕也は、呼んでみた。
「阿弥陀仏さまーーーーーあ」
意識を集中する。
「うぅぅうぅ。
分からない」
裕也は、なぜか感じない。(なぜ?)
「阿弥陀仏さまぁーーーーー」
女の子も叫んだ。
「不思議(おかしい)なぁ?」
(確かに、お釈迦様の分身を創ったのに?)
(このお嬢さんに暫く付き合うしかないのか)
「ところで、お嬢ちゃんは一人?
お母さんは?どこに住んでるの?」
裕也は、心配になりじっくり尋ね解決することにした。
「来て」
女の子は、川沿の森から奥へ奥へ進む。
取り敢(あ)えず、女の子の住まいに行くことにした。
女の子は、先へ先へ山を登っていく。
かろうじて道がある。
裕也は、黙って女の子の後をついていく。
暫くして拓(ひら)けたところにでる。
茶色の川から拾った玉石の砂利(じゃり)が敷(し)いてある。
小さなお堂である。
その奥に横に吹き抜けの広い平屋の寺がある。
障子は破れてボロボロであり、
あけっぴろげになっている。
床に黄茶(きいちゃ)けた荒れた畳が敷かれている。
「ここ、私の家」
裕也は、お堂の前で止まり、挨拶(あいさつ)した。
(お嬢ちゃんの問題が解決しますように)
開き戸には、木の『阿弥陀仏』が祭(まつ)られていた。
(ひょっとしてこの中に居(お)られの?)
効果覿面(こうかてきめん)!(本当か?)筆者の声です。
つづく。 次回(西の地球と神様の約束(002)-阿弥陀如来の約束(02)-)
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