0271_神々の戦い(040)裕也の冒険-ゼウスの駆け引き②-
--ゼウスの駆け引き②--
アクストラは、裕也が王冠の持ち主で異存はなかった。
裕也は、冠を頭に被った。
(熱い。頭が)
声が聞こえる。
(確かに、裕也です。
あなたを闇の王と認めます)
呪文が掛かっていたのである。
王冠は、裕也の頭を締め付ける。
(う。圧迫される)
そして、頭に吸い込まれて消えた。
アクストラは、呼びかける。
「裕也。裕也。大丈夫ですか?」
(誰かが呼んでいる。
あ!アクストラの声)
裕也の意識が段々戻って来る。
呼びかけから暫くしてやっと返事が出来た。
「アクストラさん。大丈夫です」
意識が以前よりはっきりした気がする。
「大丈夫です。心配をかけました。
それでは、銅漬けの脳を溶かして解放しましょう。
今、力を授与されました」
「そうですね」
アクストラは、安心したが、少し身構えた。
一瞬、呪いか何かを裕也が受けたのかと思ったのである。
「一度に全部を解放するのは、安全ではありません。
最初に三体だけ解放することにしましょう。
そして、事情を聴きましょう。
過去に、闇の民も光の民によって銅漬けにされています。
その者たちを解放しなければなりません」
裕也は、銅漬けの脳を手に取った。
そして、両手にエネルギーを注(そそ)ぐ。
銅は溶け出し、露(あら)わになった脳は、灰に成って崩れ消えた。
白い光の煙が現れる。
そして、光の民の姿に成った。
幽霊と言うべきか、影と言うべきか?
現実の体ではない。
現実と霊界の中間の存在であった。取り敢えず霊体と呼ぶことにする。
裕也は、霊体に話しかける。
「光の民さん。
脳を解放しました。
後の全ての脳を解放しますが、
その前に尋ねたいことがあります。
お答え願いますか?
後の脳の解放は、その後です。」
霊体は、答えた。
「私の名は、イレェイダです。
解放していただいて礼を言います。
ありがとう。
質問は、何ですか?」
「率直にお聞きします。
闇の民も脳を銅漬けにされたと聞きますが、
それを保管した場所は、分かりますか?」
裕也は、どうしても闇の民を救わないといけない、王の責務であると思った。
場所が分かれば、自分で解放できると考えた。
「分かりません。
知っているのは、
当時、イリウス様だけです」
裕也は、後2人を解放した。
「取り敢えずゼウスさんに聞いてみましょう。
それからです」
裕也は、アクストラに3人をゼウスの所に連れて行くように指示した。
「着いたら呼んでください」
裕也の姿は、消えた。
つづく。 次回(ゼウスの駆け引き③)
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