0313_悪魔の祈り(005)裕也の冒険-悪魔の世界-
-悪魔の世界-
裕也は、また、次元を超えて別世界に引き込まれた。
空間は、曼荼羅で違和感なく繋(つな)がっていた。
(空気が少し重い)
少女は少し困っている様子だが、
裕也に、少女の救いへの欲求の気持ちがひしひしと伝わってくる。
「突然引き込んでごめんなさい。祈りの主(しゅ)しゅ さま」
「あなたは、僕に救いを求めているんだね」
「はい。祈りの主」
「僕は、『祈りの主』と言うほど大したものじゃないけど、
出来ることは出来るだけ協力する。
だから、順を追って話してくれますか?
まず、ここはどこですか?」
「あ ぁ あく いや。裕也の世界の裏の世界です」
「悪魔の世界よ」
女王アノクダルが少女デルアドがはっきり言わないので割って入った。
裕也は、はじめて辺りを見た。
真っ白いだけの部屋いた。
裕也の後ろには異世界の曼荼羅。
なんとなく裕也の世界のものと似て文字を綴(つづ)った『雨曼荼羅(あめまんだら)』であった。
当然、異世界の文字で書かれている。
目の前に手をしっかり握っている少女と雰囲気から気品が漂う女性がいた。
「はじめまして、私は愛武 裕也(あいぶ ゆうや)と言います。
南の地球の人間です」
「ごめんなさい。デルアド。裕也。裕也。デルアド。デルアド」
「分かったよ。デルアド。君の名前だね」
少女デルアドは、笑顔になった。
裕也の話す言葉は通じたし相手の言葉も理解できた。
(多分。妖精の守護だな)
裕也は、自身に妖精の力が働いていると思った。
「私は、アノクダルです」
気品ある女性は、そう名乗った。
だが、まだ、裕也を警戒している。
女王であることを隠(かく)していた。
「悪魔の世界と言うのは、ほんとですか?」
裕也は、魔族の王でもある。
悪魔がもつ意味に動揺はしないが、
それが、何か重大な意味をもつものだと思った。
「少女が『祈りの主』と言いましたが、
私の祈りがこの世界にも流れていたのですか?」
「そうそう。苔(こけ)が光るの。
祈りの力。
食べて生きてた」
少女デルアドは、意気込んで話したが思ようにいかない。
「悪魔の世界には、食べ物はないの?」
裕也は、少女の話から察(さっ)して優(やさ)しく尋(たず)ねる。
「私が説明するわ。
悪魔の世界は、
地球の欲望をエネルギー源として成り立っています。
エネルギーは、領主、大地、民へと流れます。
ここの植物は地球の欲望を吸収して育つていました。
だが、今、この世界は崩壊(ほうかい)しかけています。
何故かは分からないですが、地球の欲望がこの世界に流れてこないのです。
植物は枯(かれ)かかっています。
今や。裕也。あなたの祈りのエネルギーだけが頼りなのです。
そうそう、この世界は、裕也の世界の裏の世界です」
女王アノクダルは、ざっと説明した。
「私が呼ばれた大体の理由とこの世界が直面している危機は理解しました」
裕也は、冷静に答えた。そして、
「では、祈ってみましょうか」
裕也は、少女デルアドに誘(さそ)いかける。
つづく。次回(悪魔の祈り(006)ーはじまりへの問いかけー)
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